【3Kは嘘?】建築業界の悪いイメージ9つを徹底検証!Q&A付き

FC編集部

『あれ、これ、どうなの?』 疑問やモヤモヤを解消し、 晴れ晴れと日々のお仕事に注力できるよう、 派遣で働く皆様のお役に立てる記事を配信中! ファーストコンテック編集部です。

著者情報
【3Kは嘘?】建築業界の悪いイメージ9つを徹底検証!Q&A付き

「建築業界ってどんなイメージ?」
「建築業界のイメージが悪いのはなぜ?」

就職活動を始めたばかりのあなたは、さまざまな業界をリサーチしている中で建築業界と出会い、ほんの少し興味が湧いてきたのではないでしょうか。 

建築業界と言えば、男社会で女性には近づき難いと感じている人も多いでしょう。さらに力仕事でいつも泥だらけ、職人気質というようなイメージが強いですよね。

実際あなたのイメージ通り、いわゆる「3K=きつい、汚い、厳しい」という印象が世間一般的です。

建設業界=3K(キツイ、汚い、厳しい)

悪いイメージがつきまとう理由は、私たちが普段見かける建築業界の仕事は工事現場が多いからでしょう。「建築=現場」というイメージが根付き、3Kだと言われているのです。 

実際は、建築業界の仕事は現場の仕事だけではありません。建物の設計に携わったり、資材の調達や管理、営業、バックオフィスなどの仕事もあります。 

建築業界の仕事がすべて「3K」ではなく、「意外と女性にも、向いているかも」と思える仕事もあるのです。 

また、建築業界は、自分が携わった仕事が形になり地図に残ることもある、非常にやりがいのある仕事です。 

「イメージが悪いから」という理由だけで敬遠するには、もったいないです。今まで知らなかっただけで、あなたが魅力的に感じる仕事があるかもしれません。 

そこで建築業界のイメージの検証をすることで、噂の真実を見極めていきましょう。この記事では次のポイントについて解説していきます。

 

▼この記事のポイント

◎世間一般から見た建築業界の悪いイメージ9つを紹介
◎建築業界のリアルを徹底検証
◎求職者が気になるQ&Aを紹介


 
この記事を最後までお読みになれば、建築業界の世間一般的なイメージや実情を、把握することができます。

これまで抱いてきた建築業界のイメージが少しでもポジティブに変わり、あなたの将来の選択肢が広がることを願っています。

 

1.世間一般から見た建築業界の悪いイメージ9つ

 世間一般から見た建築業界の悪いイメージ9つ

冒頭でもお話した通り、建築業界の世間一般的なイメージは「3K=きつい、汚い、厳しい」のようなマイナスな印象が大きいです。

建設業界=3K(キツイ、汚い、厳しい)

具体的にお伝えすると、世間一般的な建築業界への悪いイメージは次の通りになります。

建設業界のイメージ9つ

世間一般から見た建築業界の悪いイメージ9つ

  1. きつい
  2. 汚い
  3. 厳しい
  4. 危ない
  5. アナログ
  6. 給料が安い
  7. 怖い人が多い
  8. 低学歴
  9. 男女差別がありそう

出典:国土交通省「建設現場で働く人々の誇り・魅力・やりがい検討委員会提言~建設現場でいきいきと活躍するために〜

上の表は、国土交通省の建築業界のイメージについて調査したアンケートを元に、世間一般的な建築業界の悪いイメージを抽出したものです。 

「3K=きつい、汚い、厳しい」以外にも、悪いイメージがたくさん根付いているのがお分かりでしょうか。 

今回は、国土交通省のアンケート「建設現場で働く人々の誇り・魅力・やりがい検討委員会提言」や各種webサイト、SNSなどを元に、具体的な意見をまとめてみました。 

ひとつずつ、詳しく説明していきます。

 

1-1.きつい

建築業界の「きつい」というイメージについて深堀していきましょう。建築業界について「きつい」というイメージを抱く理由は次の通りです。

建設業界ってきついのかな... 

「かなりハードな体力仕事をしてそう」
「朝から晩まで働いていそう」
「重い物を運ばなければならない」
「土日も作業をしているのを見かけるので休みがなさそう」
「夏は暑くて外は寒い」
「工期に追われていそう」
「営業も現場もノルマがきつそう」

上記のように、建築業界は力仕事や激務のイメージが強いため、「きつい」というイメージが抱かれていることが分かります。

1-2.汚い

建築業界の「汚い」というイメージを抱く理由として、次のような内容が見られました。

建設業界って汚そう... 

「外作業などで汚れる作業が多い」

建築業界の現場での作業は、どうしても機械の油や土、泥の汚れで作業服や身体が汚れてしまいます。だから「汚い」というイメージが付きやすいのでしょう。

1-3.厳しい

建築業界に対する「厳しい」というイメージの理由は、次の通りです。

建設業界の人間関係は厳しそう... 

「現場の上下関係がとても厳しそう」
「親方に怒られてそう」
「離職率が高そう」
「うっかりミスが特に許されない職種だと思う」

建築業界は職人が多いので、上下関係や仕事の精度に対する厳しさを連想する人が多いようです。 

1-4.危ない

「危ない」というイメージについて、具体的な理由を見ていきましょう。

 建設業界は高いところや機械で怪我をしそうだよね

「高い所など危険な作業が多い」
「油断すると怪我をしそう」
「天候不順でも作業する危険性」
「命に関わる危険がある」
「死亡事故など含めた事故が多い」
「通行人に対する危険もある」

建築業界に対する「危ない」というイメージは、下記のようなことが危惧されていることが分かります。 

  • 作業場所における危険性
  • 天候による危険
  • 他人に及ぼす危険 

1-5.アナログ

アナログのイメージの理由は次の通りです。

建築業界はアナログで効率が悪そう... 

「機械化が進んでいるとはいえ、まだまだだと思う」
「職人など、人がアナログで作業するイメージが強い」 

建築業界というと、どうしても「大工」や「職人」のイメージが強く、アナログ業界を想像する人が多いようです。 

機械化が進んでいることは分かっていても、どれだけ機械化が進んでいるかまで具体的に想像することは難しいですよね。

1-6.給料が安い

給料が安いというイメージについて、具体的に見ていきましょう。

建築業界は給料が低そう... 

「景気に左右されそう」
「力仕事の割に給料が安い」
「真っ先に人件費がコストダウンされそう」
「自営の場合は休んだら収入がなくなる」

上記のように、建築業の収入は不安定なイメージが強いようです。「職人=仕事ありき」というようなイメージで、景気に左右されてしまうと感じている人が多いことが分かります。

1-7.怖い人が多い

「怖い人が多い」というイメージの具体的な理由は次の通りです。

 建築業界は怖い人ばかり...

「見た目が怖い人が多い」
「チャラチャラしていてヤクザのようなイメージ」

建築業界は、現場に出ているとどうしても日焼けをしてしまいますし、重労働なので身体に筋肉がついてくる人も多いでしょう。

そのような風貌に、威圧感を感じてしまう人も多いようです。

1-8.低学歴

建築業界で働く人が「低学歴」というイメージの理由は、次の通りです。

 建築業界は低学歴が多そう...

「ビジネスマナーがない」
「中卒や高卒で働き始める人が多そう」

ひと昔前だと「中卒で大工になる」という人が一定数いたため、低学歴というイメージを捨てきれない人がいるようです。 

建築業界の現場仕事が力仕事であるためビジネスマンのイメージと対極にあるように感じ、「ビジネスマナーがない」というイメージを抱く人も多いのでしょう。

1-9.男女差別がありそう

「男女差別がありそう」というイメージもあります。その理由を見ていきましょう。

 建築業界は男女差別が多そう...

「女性の活躍の場が少なそう」
「いまだに男社会だから」

建築業界は男社会だというイメージが強いため、女性には活躍の機会が少なそうだと感じている人が多いようです。

実際、現場に出ている女性はかなり少ないため、男社会だと感じるのも無理はないでしょう。

上記の中に、あなたが感じていたイメージもいくつかあったのではないでしょうか。

ただ、これらはあくまでもイメージにすぎません。建築業界の実際の働き方や収入はどうなのか、真実を次の章で検証していきます。

 

2.【徹底検証】建築業界のリアルを包み隠さず解説!

【徹底検証】建築業界のリアルを包み隠さず解説! 

イメージ

検証結果

1.きつい

事実

力仕事、労働時間の長さ、労働環境はきつい

2.危ない

事実

高所作業、重機の使用、重い資材の運搬がある

3.厳しい

事実

現場は危険と隣り合わせだからこそ厳しさはある

4.アナログ

事実

IT化が進んでいるのは業界全体の1/4程度である

5.給料が安い

間違い

建設業は全業種の平均給与よりも高い

6.怖い人が多い

間違い

社会に出てからが礼儀やマナーを重んじる人が多い

7.低学歴

間違い

大手企業や有資格者は高学歴が多い

8.汚い

事実

現場の仕事は泥や砂、機械の油などは付きもの

9.男女差別がありそう

事実

差別とまではいかないが立場の弱さを感じることはある

1.世間一般から見た建築業界の悪いイメージ9つ」でお伝えした、建築業界に対する世間一般的な悪いイメージが真実なのか、徹底検証していきます。 

包み隠さずお伝えしますので、ぜひ最後までお読みになって建築業界のリアルを紐解きましょう。 

2-1.建築業界のきついイメージは本当!繁忙期以外は落ち着いていることも

建築業界の「きつい」というイメージは本当です。

給料が高い分、とくに、繁忙期である9月末と1〜3月は激務になる傾向にあります。 

反対に、4〜6月の閑散期は比較的落ち着いています。企業によっては有給を取りやすかったり、定時に帰れることが多くあります。

建築業界の忙しさについて、詳しい内容は【過酷】忙しい建築業界の実態を時期・部門・激務レベル別に大解剖!の記事もぜひチェックしてください。

主に下記の3つが、きつさを感じる要因になります。 

  • 力仕事
  • 労働時間の長さ
  • 労働環境 

実際に建築業界で働いている人のSNSの書き込みを見てみましょう。

 SNSの書き込み1

出典:TwitterSNSの書き込み2

出典:Twitter

SNSの書き込み3

出典:Twitter

 SNSの書き込み1

出典:Twitter 

建築業界は休みが少なく、1日の勤務時間が長いため、連休や長期休暇が取れずに嘆いている人も多いです。

ただ、国土交通省によると、2024年から建設業への時間外労働の上限規制適用を見据え、原則週休2日制に取り組む方針を明らかにしています。(参考:国土交通省「働き方改革・建設現場の週休2日応援サイト」 

今後は建築業界の働き方改革が進み、勤務のきつさも軽減されていく可能性があるでしょう。

2-2.建築業界の危ないイメージは現場では本当!高所作業や大型機械を扱う

建築業界の危ないイメージは、現場仕事においては真実です。ただ、営業や事務の場合は現場で作業しないので、危険ではないことも覚えておきましょう。 

建築現場では高所作業や機械の操作、資材の運搬があるほか、悪天候や炎天下での勤務になることも珍しくありません。

実際に建築業で現場に出ている人のSNSにも、建築現場の危険性が書かれています。

SNSの書き込み4

出典:Twitter

SNSの書き込み6 

出典:Twitter

SNSの書き込み7 

出典:Twitter

 SNSの書き込み8

出典:Twitter

建築業界の現場は、常に命の危険と隣り合わせであることは間違いありません。

うっかりミスをすることが許されない現場なので、危険への知識をしっかりと持ち、徹底的に実践する姿勢が求められます。 

2-3.建築業界の厳しいイメージは本当!愛ある叱りで絆が深まる

建築業界の現場の厳しいイメージは、本当です。 

ただ、厳しさは実際の現場での人間関係に左右されます。上下関係がかなり厳しいと感じる人もいれば、自由な現場で厳しさを感じない場合もあるのです。

2-2.建築業界の危ないイメージは本当!」でお話した通り、建築現場は命の危険と隣り合わせです。ある程度の厳しさは命を守るために必要なことなので、厳しい方が健全な現場だと言えるでしょう。 

建築現場での厳しさは、愛ある叱責がほとんどです。厳しさを乗り越えた先には、人間関係に強い絆が生まれます。

建築業界の厳しさについての、ユーザーの声をご覧ください。 

【ポジティブな厳しさ】

SNS-8

出典:Twitter

SNS-9

出典:Twitter SNS-10

出典:Twitter

SNS-11

出典:Twitter

【ネガティブな厳しさ】

SNS-12

出典:Twitter

建築業界の厳しいイメージは、ポジティブな印象が多いようです。

厳しい中にも愛情や仲間意識があり、1つの現場が終わるごとに深い絆を得られるのは魅力的ですよね。

ただ、どの業界にも共通することですが、現場の人当たりの厳しさは、その環境の人間関係によるところもあります。

良い人間関係に恵まれれば、愛情ある厳しさを感じることができるでしょう。

2-4.建築業界がアナログというイメージは本当!IT導入は全体のわずか23%

建築業界はアナログというイメージは本当です。現場、内勤問わずアナログの傾向が強く、昔からのやり方が残っています。

日本全国の建設業を対象に(株)東京商工リサーチが行った調査によると、業務のITに関する手法の導入状況について、次のようなデータが示されました。

 業務のITに関する手法の導入状況

参考:「建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書(令和2年調査)(株)東京商工リサーチ

上記のグラフからもお分かりのように、IT手法を業務に導入している企業は、まだ23.3%程度です。 

建築業界でもIT化を進めているとは言え、現状では導入に至っていない企業の方が多いことが分かります。ただ、徐々に進んでいることは間違いないので、今後の取り組みに期待していきましょう。 

建築業界がどの程度アナログなのかについて、インターネット上のSNSに記載されている口コミをご覧ください。

 SNS-13

出典:Twitter

 SNS-14

出典:Twitter

 SNS-15

出典:Twitter

SNS-16出典:Twitter

上記の投稿からも分かるように、建築業界はまだまだ手書きの書類やFAXなどを使っていて、アナログの傾向が強いと言えます。

電子サインやペーパーレス化、デジタル化が進んでいる他業界と比べると、IT化は大きく遅れをとっているでしょう。

2-5.建築業界の給料が安いイメージは間違い!全業種の平均年収より高い

建築業界の給料が安いというイメージは、間違いです。 

国税庁による、平均給与の調査から一部を抜粋した次のグラフをご覧ください。

 国税庁による、平均給与の調査(一部抜粋)

出典:国税庁「平均給与」

上記のグラフからもお分かりのように、建築業界を含めた建設業の平均年収は493万円で、全業種の平均467万円より上回っています。 

さらに、建設業の年代別の平均年収を全業種と比較してみましょう。次の表をご覧ください。 

【建設業と全業種の年代別平均収入】

年代

建設業の平均年収

全業種の平均年収

19歳以下

233.6万円

132.6万円

20代前半

337.1万円

268.9万円

20代後半

418.3万円

370.6万円

30代前半

464.2万円

412.5万円

30代後半

491.9万円

448.8万円

40代前半

527.6万円

479.9万円

40代後半

598.8万円

503.7万円

50代前半

600.3万円

520.1万円

50代後半

601.5万円

529.0万円

参照:民間給与実態統計調査結果 第11表/第12表

どの年代でも、全業種の平均年収より建設業の平均年収の方が上回っているのがお分かりになるでしょうか。

実際に、建築業界の収入について言及しているSNSを見てみましょう。 SNS-17出典:Twitter

 SNS-18

出典:Twitter

SNS-19出典:Twitter

SNS-20

出典:Twitter 

上記のように、建築業界は全業種の平均よりも高い収入を得られるのが真実です。「給料が安い」というイメージは、間違っています。

2-6.建築業界の「怖い人が多い」イメージは間違い!見た目の印象にすぎない

建築業界の「怖い人が多い」というイメージは間違っています。 

怖い人が多いというイメージが抱かれるのには、次の理由が考えられます。

  • 日焼けをしている
  • 作業服を着ている
  • 大きな声で乱暴な口調が目立つ 

ただ、これらはあくまで見た目によるイメージでしかありません。日焼けをしていることや大きな声で指示を出しているのは、仕事を頑張っている証拠でもあります。 

「見た目が怖い」というのは、あくまでも思い込みでしかないことがお分かりになるでしょう。 

そして、建築業界は絆や仲間意識が強いからこそ、礼儀や人間性が重視される業界です。SNSでの書き込みを見てみましょう。

SNS-21 出典:Twitter
 SNS-22

出典:Twitter 

建築業界で働く人たちは、礼儀正しくマナーを重んじていることが分かります。 

人間関係を大事にする業界だからこそ、なおさらマナーを重視する人が多いのです。 

2-7.建築業界の低学歴というイメージは間違い!短大、大卒が増加

建築業界には低学歴というイメージがありますが、全体的にみると間違いだと言えます。

厚生労働省による、新規学卒者の建設業への就職状況についての調査データがありますのでご覧ください。 建設労働者を取り巻く状況について(厚生労働省)を元に作成したグラフ

参考:厚生労働省「建設労働者を取り巻く状況について」を元に作成

上記のデータから、新規学卒者で建設業に入る人の半数が短大・大学卒であることが分かります。

理由は、例えば現場での作業員の場合は学歴不問や高卒でも応募できますが、設計や現場監督になると大卒が条件になっている場合が多いからです。

ましてや建築業界の中でも大手企業に就職する場合や昇進を目指していきたい場合、ライバルたちに差をつけるには少なくとも大卒でなければなりません。 

建築業界全般を低学歴だとするイメージは、間違っていると言えます。

2-8.建築業界の汚いというイメージは現場では本当!土や油で汚れてしまう

建築業界の汚いというイメージは、現場においては本当です。

ただ、事務職や営業など、現場で作業をすることがない職種もあるため、「汚い」というイメージが建築業界全体に当てはまるわけではありません。 

現場で作業する場合に汚れてしまうのは、ある程度仕方がないことです。作業をすれば、土や泥が服についたり、工具や機械の油、自分の汗などで作業服はいつも汚れてしまいます。

インターネット上に掲載されている口コミは、次の通りです。 SNS-23出典:Twitter SNS-24出典:Twitter

確かに建築現場は汚れる仕事ですが、それは仕事を頑張った証でもあります。

建築業界の人たちは、汚れを勲章のように感じ、誇りを持っています。 

2-9.建築業界の男女差別がありそうというイメージは職場による!女性も徐々に増加傾向

建築業界は男が多く男女差別が横行してそうというイメージは、職場によるので一概には言えません。 

「建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書(令和2年調査)(株)東京商工リサーチ」によると、建築業界を含む建設現場で働く人たちの性別は、「男性」が 86.2%、「女性」が 13.1%でした。

建設現場で働く人たちの男女比 

参考:「建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書(令和2年調査)(株)東京商工リサーチ 

やはり、男性の方が圧倒的に多いので、女性が立場が弱いと感じることはあるようです。 

ただ、一部の職業では、女性の割合が徐々に増えてきています。例えば、建設技術者の女性数、女性比率について調査した次のデータをご覧ください。 大学・大学院から新卒で建設技術者として就職する女性数・女性比率の推移

参考:文部科学省「学校基本調査」

上記のグラフからもお分かりの通り、徐々にですが女性比率が上がっています。今はまだ女性が少なくても、将来的には増えていくことが期待されるでしょう。 

SNSにある口コミを見てみましょう。

SNS-25出典:Twitter

SNS-26 出典:Twitter
SNS-27

出典:Twitter SNS-28出典:Twitter 

ただ、次のように、女性が活躍している会社も増えてきています。 

(株)大林組

2014年8月に
大手初の女性現場所長が誕生!

(株)松下産業

女性現場監督が活躍!
女性ならではの視点で、細部まで行き届いた施工管理と対応で
施主や職人さんからも好評!

東急建設(株)

建設現場でも
女性技術員や女性技能者が働きやすい環境づくりを実施!

パシフィックコンサルタンツ(株)

新入社員の3割が女性で
育休からの復職者もあり!

参考:「応援しよう!建設業で働く女性、支える企業」 

建築業界における女性の活躍推進の取り組みは、国土交通省でも行っています。 

2014年から実施している「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」は、「業界を挙げて女性の更なる活躍を歓迎し、もっと女性が活躍できる産業に生まれ変わる」ことをミッションに、女性が働きやすい環境づくりや雇用環境を整えていくサポートです。 

現場でのトイレや更衣室、シャワーの用意、仕事と家庭を両立できるような子育てサポートなどに積極的に取り組むとされていて、今後女性の働きやすさが向上していくことが期待されています。

検証結果

3.建築業界の求職者が気になる5つのQ&A

 建築業界の求職者が気になる5つのQ&A

ここまでのお話で建築業界のリアルが少しずつ明らかになってきましたが、実際に働く状況をイメージしてみると、もっと細かい部分が気になっている人も多いでしょう。 

そこで、建築業界の求職者の多くが気になっているもっとリアルな部分について、Q&A方式で答えていきます。ぜひ参考にしてくださいね。

3-1.更衣室はあるの?

【A】更衣室自体はありますが、女性専用更衣室を設けている現場はまだまだ少ない状況です。 

建築業を含めた建設業の工事現場で活躍する女性技術者・技能者数は約10万人で全体に占める女性の割合は、約3%程度だからです。(出典:国土交通省「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」 

とは言え、国土交通省が2014年から実施している「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」でも推進しているように、女性が働きやすい工事現場の環境づくりとして女性専用の更衣室とトイレを増設することを目指しています。 

北陸では女性技術者登用モデル工事(試用)が行われ、女性専用の更衣室や男女別のトイレを仮設しました。今後、取り組みがさらに増えていくことでしょう。

3-2.作業服はどのくらいのペースで洗濯するの?

【A】作業服は基本的に毎日洗濯します。土や泥、機械の油、汗などでかなり汚れるので、1日でも放っておくと染み付いてしまい取れなくなってしまうからです。 

SNSでも次のような書き込みがありました。

SNS-29

このように、作業服は毎日洗濯する人がほとんどだと言えるでしょう。 

ただ、最初にお話した通り、工事現場で着用した作業服の汚れは泥汚れや油汚れなど程度がひどいので、毎日洗濯するのは大変です。

洗い替えように少なくとも2着は用意して、2日おきくらいで洗濯を回すのがおすすめですよ。

3-3.女性専用トイレはあるの?

【A】女性専用トイレを設けている現場はほとんどありません。

3-1.更衣室はあるの?」でもお話した通り、現場での仕事に携わる女性は非常に少ないからです。 

ただこちらも更衣室同様、女性専用トイレの設置や、臭いがこもらないように汲み取りから水洗に変えたりと、女性が快適に使用できるトイレの設置を目指しています。

SNS-29

とは言え、現状は男女共用の仮設トイレであることがほとんどなので、女性は生理の時に大変です。

SNS-30

男性の方が圧倒的に多い現場では、トイレに汚物入れがないことがほとんどです。

そのため、生理の時は自分で汚物入れを用意して置いておくか、袋を持っていきその都度汚物を持ち帰らなければなりません。

3-4.悪天候でも現場は休みにならない?

【A】建築の現場は、悪天候でも休みにはなりません。工事には納期があるので、当然ですが天気が悪いたびに休んでいては間に合わないからです。

ただ、台風や大雪など、作業にかなりの危険があると判断された場合は休みになります。 

SNSにも次のような書き込みがありました。 SNS-31出典:Twitter

特に工期が迫っている時は、工事を止めるわけにはいかないのです。 

2-1.建築業界のきついイメージは本当!」にもつながってきますが、建築の現場で働くなら、悪天候や炎天下で現場仕事をする覚悟が必要だと言えます。

3-5.女性は結婚しても続けられる?

【A】大手企業では、女性が結婚や出産を経ても続けられる体制が整っています。

国土交通省の「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」により、業界全体で女性の働きやすさに取り組んでいるからです。 

実際に女性が仕事と家庭、子育てを両立している声がありますので、見てみましょう。

(株)大藪組

子育て中のママ2名が活躍

(有)角田工務店

子育て世代のパート3名が住宅相談窓口で活躍

カナツ技建工業(株)

女性技術者が
仕事と家事、子育てを両立

加賀建設(株)

子育てしながら仕事に励む女性技術者が、
女性が働きやすい現場づくりを推進

(株)安藤・間

子育て中の女性社員が増加中

港シビル(株)

介護中、子育て中の女性を歓迎

出典:「応援しよう!建設業で働く女性、支える企業」

大手企業では子育て中の女性が活躍している会社が多いことが分かります。 

ただ、規模が小さい会社の場合は、まだまだ女性をサポートする体制が整っていなかったり、人手不足のため制度を利用しずらかったりするのが現状です。 

また、建築業も含めた建設業全体を調査した、次のようなデータがあります。

 円グラフ/女性技能労働者が働くための、仕事と家庭の両立に関する制度(育児休暇など)の整備状況について

参考:「建設業における雇用管理現状把握実態調査報告書(令和2年調査)/(株)東京商工リサーチ 

◎女性技能労働者が働くための、仕事と家庭の両立に関する制度(育児休暇など)の整備状況について

「ほとんど整えていない」42.8%
「多少は整えている」21.0%
「概ね整えている」19.1%

業界全体で見ると、育児休暇などを整備しているところは半数程度だということが分かります。

結婚や出産を経ても長く働きたいと考えている人は、入社する会社が育児休暇などを整えているか、利用している実績はあるかを事前に確認しておくと良いでしょう。

 

4.まとめ

いかがでしたか?建築業界について、世間一般的なイメージとそのリアルを解説してきました。 

最後にこの記事をまとめましょう。

◎世間一般から見た建築業界の悪いイメージ9つ

  1. きつい
  2. 危ない
  3. 厳しい
  4. アナログ
  5. 給料が安い
  6. 素行不良
  7. 低学歴
  8. 汚い
  9. 男女差別がありそう

◎建築業界のイメージを検証すると次の通り

1.きつい

事実

力仕事、労働時間の長さ、労働環境はきつい

2.危ない

事実

高所作業、重機の使用、重い資材の運搬がある

3.厳しい

事実

現場は危険と隣り合わせだからこそ厳しさはある

4.アナログ

事実

IT化が進んでいるのは業界全体の1/4程度である

5.給料が安い

間違い

建設業は全業種の平均給与よりも高い

6.怖い人が多い

間違い

社会に出てからが礼儀やマナーを重んじる人が多い

7.低学歴

間違い

大手企業や有資格者は高学歴が多い

8.汚い

事実

現場の仕事は泥や砂、機械の油などは付きもの

9.男女差別がありそう

事実

差別とまではいかないが立場の弱さを感じることはある

以上になります。 

建築業界は悪いイメージが根強く、女性は敬遠しがちな業界です。実際に、現場では体力が必要だったり、休みがなかなか取れないといった事実もあります。

ただ、建設業は女性が働きやすい環境を整えようと積極的に動いている最中です。

女性でも現場で活躍している人はいますが、他にも事務や営業などで活躍する人など、現場だけでなく建築業界のさまざまな部門で女性の活躍が期待されています。 

建築業界は、厳しさはあるものの、全業種よりも高い年収と一生の絆を得られるやりがいの大きい業種です。 

この記事があなたの将来の選択肢を広げるきっかけになれば幸いです。