派遣社員の面接は禁止されている!実施された場合の最適な対応方法

FC編集部

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「派遣社員への面接って禁止されているんじゃないの?」
「派遣社員への面接は禁止されているのに、派遣先企業で面接が実施されてしまった」

とお悩みではありませんか?

派遣社員の面接は「労働者派遣法(第26条第6項)」で禁止されています。

その理由は主に、派遣社員が不当に就労機会を奪われてしまうのを防ぐためです。
もし派遣先企業による面接が認められてしまうと、職業能力以外の要素(経歴、年齢、性別、容姿など)で派遣社員が選定され、派遣社員の就労機会が不当に奪われてしまう可能性があるのです。

そのため派遣社員への面接は法律で禁止され、違反すると各都道府県から行政指導が行われます。

ただし、すでに派遣先企業の面接を受けた人にとって、派遣における面接禁止の事実を知るだけではその後の対応が難しいでしょう。

そこで以下2点を行うことで、具体的な行動を起こすことができます。

  • 派遣における面接が実施されたかどうか判断する
  • 面接が実施されたと判断できたら、然るべき対応をとる

本記事では上記の点をふまえて、以下の内容を解説します。

▼本記事の内容

  • 紹介予定派遣では面接は禁止されていない
  • 派遣社員へのz面接であると判断できる3つのケース
  • 派遣の面接が実施された場合の2つの対応方法
  • 面接のかわりに行う派遣の「顔合わせ」とは

この記事を読むことで、派遣社員への面接が法律で禁止されていることやその理由が理解できるだけでなく、ご自身が派遣先企業から面接を受けたのかどうか判断した上で、どのような対応が必要なのか知ることができます。

ぜひ、最後までお読みください。

1.派遣社員への面接は法律で禁止されている

 

派遣社員への面接は法律で禁止されている

派遣先企業による派遣社員への面接は、以下の法律で禁止されています。

労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。(労働者派遣法第26条第6項)

「派遣労働者を特定することを目的とする行為」というのは、派遣先遣候補者から特定人物の選定する行為のこと。
つまり労働者派遣法によって「派遣先企業が雇いたい派遣社員を面接によって選ぶ=面接」を禁止しているのです。

それでは、派遣先企業による派遣社員への面接はなぜ禁止されているのでしょうか。

その理由は、以下2つです。

派遣先企業による派遣者社員への面接が禁止されている理由

①派遣社員と派遣先企業は雇用関係にないため

②派遣社員の就労機会を守るため

1つめの理由は「派遣社員と派遣先企業は雇用関係にないため」です。

労働者派遣法によると、派遣社員が雇用関係にあるのは「派遣元企業」であり、「派遣先企業」ではありません。「派遣先企業」ができることはあくまで派遣社員に対する業務の指揮命令をするのみ。つま派遣社員を評価し、派遣先とのマッチングができるのは「派遣元企業側」なのです。

そのため、もし「派遣先企業」が面接などの選考を実施した場合は法律違反となります。

1-2.派遣社員の就労機会を守るため

2つめの理由は「派遣社員の就労機会を守るため」です。

本来であれば派遣元企業が派遣社員の職業能力を見極めた上で、適した企業へ派遣を行います。

しかし、もし派遣先企業による面接が認められてしまうと、職業能力以外の要素(経歴、年齢、性別、容姿など)で派遣社員が選定され、派遣社員の就労機会が不当に奪われてしまう可能性があるのです。

そこで面接をはじめ、派遣先企業が人物を選定する行為は法律で禁止され、派遣社員の就労機会を保護しています。

したがって、派遣において面接が実施され、派遣社員の採用可否を決めるのは違法です。

ただし、「5.派遣社員の顔合わせ・職場見学の流れ」で詳しく解説しますが、派遣では面接が無いかわりに、就労前に派遣先企業へ行き、人事担当者と話したり、職場を見学させてもらう「顔合わせ」というものがあります。顔合わせ行為自体は違法になりません。

ちなみに、面接以外の派遣先企業の禁止行為としては以下のようなものがあります。

  • 履歴書などの応募書類の提出を要請する
  • 年齢、性別などの採用条件を定める
  • 適性検査を行う

ただし例外として、派遣先企業による人物の選定が認められる以下のようなケースもあります。

  • 派遣候補者が派遣先に自ら訪問する
  • 派遣先への直接雇用を希望している派遣候補者が、就業前に自ら履歴書を送付する

上記のいずれかに該当する場合には、派遣先企業の禁止行為には当てはまりません。

2.紹介予定派遣では面接は禁止されていない

紹介予定派遣では面接は禁止されていない

基本的に派遣先企業が派遣社員へ面接を行うのは禁止されていますが、一方で紹介予定派遣においては面接は禁止されていません。

そもそも紹介予定派遣とは、派遣期間(最長で6ヶ月)が終了した後、派遣社員本人と派遣先企業の両者が合意した場合に、派遣先企業から直接雇用されるというものです。

紹介予定派遣は通常の派遣とは異なり、派遣先企業が将来的に派遣社員を「正社員」や「契約社員」として雇用する可能性があります。そのため、就業前の書類選考や面接が許されているのです。

事前に選考が行われるということは、就業前の選考で不合格となる可能性もあります。

したがって、通常の派遣で面接が実施されるのは違法となりますが、紹介予定派遣では面接は実施されるケースが多いということを知っておきましょう。

3.派遣社員への面接であると判断できる3つのケース

派遣先企業によっては「顔合わせ」という名目で面接を行うケースがあります。
そうしたケースでは、職業能力以外の要素(経歴、年齢、性別、容姿)で採用可否を決める可能性があるため、派遣社員は就労機会を不当に奪われてしまう可能性があるのです。

そこで3章では、企業との顔合わせが違法な面接かどうかを見極めるため、以下3つのケースを解説します。

派遣社員への面接であると判断できる3つのケース

違法な面接かどうか判断することで、次のステップである「4.派遣の面接が実施された場合の2つの対応方法」で具体的な対応ができます。

そのため、まずは違法な面接があったのかどうか判断しましょう。

3-1.仕事やスキルに関係のない質問をされた

1つめは「仕事やスキルに関係のない質問をされた」ケースです。
派遣先から個人情報を聞かれたり、業務経験やスキルと関係のない質問をされた場合は、違法な「派遣の面接」であると判断できます。

本来であれば派遣先企業は、顔合わせで派遣労働者の経験や所有スキルを確認し、自社の業務内容とミスマッチがないかどうかを確認するにとどまります。

しかし、たとえば以下のような質問をされた場合は、具体的な採用条件を決めて派遣社員の採用・不採用を決めようとしているため、違法な面接だといえます。

  • 出身大学や出身高校
  • 年齢
  • 住所
  • 既婚か未婚か
  • 子どもの有無
  • 家族構成

など

このように、仕事・スキルに関係ない質問があった場合には「面接である」と判断できるでしょう。

3-2.顔合わせが2回以上あった

2つめは「顔合わせが2回以上あった」ケースです。

顔合わせのそもそもの目的は「派遣労働者が派遣先企業で働くことにミスマッチが無いかどうかを確認するためのもの」で、1回で行われるものです。
しかし顔合わせが複数回設定される場合は、派遣先企業の人事担当者が採用の可否を判断したい意向がある、つまり派遣先企業が選考していると考えられるため、「派遣先企業が面接を実施した」といえるのです。

たとえば「1回目の顔合わせ時に採用の可否を決定する人物の都合が合わず不在であったため、再度顔合わせの機会を調整した」というケースや、「採用するか悩んでいるので、もう一度来てもらって話がしたい」といったケースがあります。

すでに派遣社員の就業が決定し、挨拶のために再度派遣先企業へ行くケースはあるものの、複数回の顔合わせが行われた場合には、選考のために顔合わせの時間を設けていると考えて良いでしょう。

3-3.顔合わせ後に不採用となった

3つめは「顔合わせ後に不採用となった」ケースです。

顔合わせ後、派遣元企業から「派遣先企業から不採用の通知が来ました」という連絡があった場合は、顔合わせが面接であったといえます。

「派遣先企業から不採用の通知が来た」ということは、派遣先が顔合わせで選考を行ったということを意味します。本来であれば、選考は行われていないはずであり、不採用の通知は届くはずがありません。

そのため、不採用通知を派遣先企業が伝えてきた場合は、顔合わせが面接の場であり、選考が行われたと判断できます。

ただし派遣先企業から不採用の通知が来ても、そのまま派遣候補者へ伝えるケースは少なく、

  • 「派遣先企業側で人員を社内調整できることとなり、今回は求人がなくなりました」
  • 「派遣先企業の社内事情が変わって、直接雇用で採用されることとなりました」

といったように伝えられるケースが多いのが実際のところです。
そのため「派遣先企業から不採用の通知が来た」といった表現で不採用を伝えられていない場合は、「面接」と断定するのは難しいでしょう。

したがって、「派遣先企業から不採用通知が届いた」という連絡が派遣元企業からあった場合に限り、顔合わせは面接であったと判断できます。

4.派遣の面接が実施された場合の2つの対応方法

3章で派遣の顔合わせが面接だと判断できた場合、どのような対応を取るべきか不安に感じている人もいるのではないでしょうか。

そこで4章では派遣の面接が実施された場合にするべき対応方法を以下2つご紹介します。

派遣の面接が実施された場合の2つの対応方法

4-1.公共職業安定所へ報告する

1つめは「公共職業安定所へ報告する」ことです。

公共職業安定所(ハローワーク)とは、国民に安定した雇用機会を確保するために国が設置している行政機関です。

また公共職業安定所へ「派遣の面接が実施された」旨の報告をすると、派遣元企業、派遣先企業に対して事実確認を行った上で、派遣元企業、派遣先企業が面接を実施しないよう改善し、また面接を行う恐れがある場合にそれを防止してくれます。さらには行政処分などの措置がとられることもあります。
そのため、公共職業安定所への報告は、同じように違法な面接を受ける派遣労働者を減らすことにつながるのです。

公共職業安定所へ相談したからといって、採用不採用の結果が変わるわけではありませんが、違法な行為を是正することにつながるため、公共職業安定所へまずは報告しましょう。

4-2.利用している派遣元企業を変える

2つめは「利用している派遣元企業を変える」ことです。

派遣元企業は、そもそも労働者派遣法で面接禁止とされていることを知っているはずです。それにも関わらず派遣先企業へ面接に行くことを促したり、顔合わせという名目で面接が行われている場合は、派遣元企業にも問題があり、違法行為を助長しているといえます。

たとえば派遣元企業A社が「派遣先企業B社へ顔合わせに行きましょう」と派遣労働者Cさん(女性)に伝え、顔合わせという名目で面接を行った場合を考えてみましょう。

Bさんは顔合わせと聞いているため、

  • 「自分が気持ちよく働ける職場であるか」を確認するための質問
  • 志望動機
  • スキルのアピール

などを考えて顔合わせに臨みました。

しかし、「出身大学」「子どもの有無」「住んでいる場所」なども確認され、Cさんは自分の職業能力以外の部分も含めて審査されているように感じました。しかし派遣元企業A社の担当者はその場でB社の質問を止めたり注意したりすることもありませんでした。

顔合わせの2日後、派遣元企業A社担当者からCさんに対して「B社は不採用となりました」と連絡が入り、Cさんは派遣先企業B社への就業ができませんでした。

このように、顔合わせを名目にして面接が実施された場合、派遣元企業A社にも問題があるといえます。

そのため登録している派遣元企業から別の派遣元企業へと登録を変更することで、違法な派遣の面接を受けなくてすむようになる可能性があります。

ただし新たに登録した派遣元企業が、派遣の面接に対して見て見ぬ振りをしている可能性がないとは言い切れないため、複数の派遣元企業へ登録しておくことをおすすめします。

5.派遣社員の顔合わせの流れ6ステップ

派遣社員の顔合わせの流れ6ステップ

派遣における顔合わせとは、派遣労働者が派遣先企業で「就業する・しない」を判断するためのものです。

当日は以下の流れで顔合わせが行われます。

▼顔合わせの流れ6ステップ

【ステップ①】派遣会社の営業担当者との打ち合わせを行う

まずは派遣会社の営業担当者と顔合わせ前に待ち合わせし、30分〜1時間程度、顔合わせの流れについての説明を受けます。派遣社員の顔合わせに対する不安や疑問を解消するという目的で実施されます。

 

【ステップ②】派遣先企業の担当者との対面する

派遣会社の営業担当者と一緒に派遣先企業へ訪問し、顔合わせがスタート。就業した場合の上司となる人や、人事担当者との面談を開始します。

 

【ステップ③】スキルシートをもとに自己紹介をする

顔合わせが開始すると、まずは派遣会社の営業担当がその場にいる全員にスキルシートを手渡します。そして派遣社員がスキルシートに沿って自己紹介をし、これまでの職歴や保有スキルなど、派遣先企業に「どんなことができる人材なのか」を伝えます。
自己紹介は「目の前にいる派遣社員が自社でスキルを活かして働けるのかどうか」について、派遣先企業の上司や人事担当者が確認するために行います。
そのため、できるだけ派遣先の会社の業務に合うスキルを重点的に伝えると良いでしょう。

 

【ステップ④】派遣先企業の担当者から仕事内容の説明を受ける

あらかじめ派遣会社から用意された求人情報である程度業務内容は把握できますが、ここではさらに詳しい業務内容や会社の雰囲気などを聞くことができます。
こうして仕事内容を一通り、派遣先企業から説明する時間が取られているのは、派遣社員と派遣先企業の間で、業務内容の認識のズレを生じさせないためです。

 

【ステップ⑤】質疑応答

このステップでは、業務上知っておきたいことを、派遣社員と派遣先企業の双方で、質問し合います。
質疑応答の時間を設けることで、派遣社員側は業務内容を正しく認識でき、就業前の不安の解消や、就業するかどうかの判断がしやすくなります。
また派遣先企業側も、質疑応答を行うことで、派遣社員が持っているスキルやこなせる業務を正しく認識できます。その結果、職場環境が本人に合うかの判断や、就業後、具体的な仕事を任せるときの参考になります。

 

【ステップ⑥】営業担当者へ派遣先企業に対する意向を伝える

質疑応答が終わり次第、顔合わせは終了となります。
その後、派遣会社の営業担当者から、

  • 職場環境は合いそうか
  • 業務は遂行できそうか
  • 顔合わせした派遣先企業への勤務を希望するかどうか

といった内容のヒアリングを受け、そこで派遣先企業に対する意向を伝えます。
そして営業担当者は派遣社員の意向や、訪問時のやり取りをふまえて、適切な派遣先企業かどうかを判断します。最終的に、営業担当者が以下の理由で「今回の派遣先が派遣社員にとって適切ではない」と判断するケースもあります。

  • 派遣社員に派遣先が求める業務を遂行する能力がないと判断した
  • 職場環境が派遣社員に合わないと判断した
  • 派遣社員が勤務を希望しなかった

一方で、派遣社員が顔合わせをした派遣先へ就業したい意向があり、営業担当者も「就業が適切である」と判断した場合は、晴れて「就業決定」となります。

上記の流れに沿わず、派遣先企業が派遣社員を評価するための「面接である」と判断できた場合は、「4.派遣の面接が実施された場合の2つの対応方法」を参考にして、対応を行いましょう。

面接かどうか判断するには、「3.派遣社員への面接であると判断できる3つのケース」を参考にしましょう。

派遣の顔合わせについて詳しく知りたい場合は以下の記事もあわせてお読み下さい。
→「派遣 顔合わせ」へリンク

6.まとめ

本記事では派遣で面接が禁止されている理由や、それでも面接が実施された場合の対処法などについてご紹介しました。

ここで改めて、本記事の内容をおさらいしましょう。

◆派遣社員への面接は法律で禁止されている理由

①派遣社員と派遣先企業は雇用関係にないため

②派遣社員の就労機会を守るため

◆紹介予定派遣では面接は禁止されていない

◆派遣社員への面接であると判断できる3つのケース

  • 仕事やスキルに関係のない質問をされた
  • 顔合わせが2回以上あった
  • 顔合わせ後に不採用となった

◆.派遣社員の顔合わせの流れ6ステップ

【ステップ①】派遣会社の営業担当者との打ち合わせを行う
【ステップ②】派遣先企業の担当者との対面
【ステップ③】スキルシートをもとに自己紹介をする
【ステップ④】派遣先企業の担当者から仕事内容の説明を受ける
【ステップ⑤】質疑応答
【ステップ⑥】営業担当者へ派遣先企業に対する意向を伝える

本記事が参考になれば幸いです。