派遣がボーナスをもらえる4つの働き方|法的根拠から平均額まで解説

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派遣がボーナスをもらえる4つの働き方|法的根拠から平均額まで解説

「派遣にボーナスはある? ない?」「今の職場では派遣で長く働いていて貢献していると思うけれど、ボーナスがもらえないのが不満。派遣でもボーナスがもらえる方法はある?」

派遣社員として働いていて、そんな疑問や要望を持っている方も多いでしょう。

結論から言えば、派遣でもボーナスがもらえる可能性はあります
基本的にはボーナスがない場合が多いですが、条件によっては支給されるのです。

派遣社員でもボーナスをもらえる可能性があるのは、以下のようなケースです。

  • 紹介予定派遣の場合
  • 派遣先均等・均衡方式での就業の場合
  • 常用型派遣で就業する場合
  • 派遣会社にボーナス制度がある場合

つまり、派遣社員がボーナスをもらおうと思うなら、以下のような手段があるというわけです。

  • ボーナス制度のある派遣先企業に、紹介予定派遣で就業する
  • 派遣先均等・均衡方式をとっている派遣業務に応募する
  • 派遣会社の常用派遣求人に応募する
  • ボーナス制度がある派遣会社に登録、就業する

そこでこの記事では、派遣社員のボーナスについてくわしく解説します。

◎派遣社員でもボーナスがもらえる可能性はある
◎派遣社員でもボーナスがもらえる可能性があるケース
◎派遣社員がもらえるボーナス額の平均は?
◎派遣社員のボーナスの有無・金額を決める2つの方法
◎派遣社員がボーナスをもらう方法
◎よくある質問

最後まで読めば、知りたいことがよくわかるでしょう。
この記事で、あなたが派遣社員でもボーナスをもらえるよう願っています。

 

1.派遣社員でもボーナスがもらえる可能性はある

派遣社員でもボーナスがもらえる可能性はある

「正社員のようにボーナスをもらいたいけれど、派遣社員なので無理だろうな」と思っている方も多いでしょう。
が、諦めるのは早いです。
派遣社員であっても、ボーナスがもらえる可能性はあるのです。

それいったいどういうことでしょうか?

1-1.派遣社員は基本的にボーナスはないが、条件によってはもらえる

残念ながら、派遣社員の多くはボーナスを支給されていません。
それは、派遣社員の場合、あらかじめ給与にボーナスや交通費を含めて支給される場合が多いからです。
そのため、同じ仕事をしている正社員と比べると、月給の支給額では上回っている場合もあります。

が、確率は少ないながらも、派遣にボーナスが出ることはあります
それは、以下のようなケースです。

  • 紹介予定派遣の場合
  • 派遣先均等・均衡方式での就業の場合
  • 常用型派遣で就業する場合
  • 派遣会社にボーナス制度がある場合

これについては、「2.派遣社員でもボーナスがもらえる可能性があるケース」でくわしく説明しますが、いずれにしろ「派遣社員は絶対にボーナスはもらえない」と諦めないでください。

1-2.派遣社員のボーナスは「​​同一労働同一賃金」によってもらえる

では、派遣社員にもボーナスがある会社は、なぜそうしているのでしょうか?
それは、「同一労働同一賃金」という決まりがあるからです。

「同一労働同一賃金」とは、「同一企業内において、非正規労働者(パートタイマー、アルバイト、契約社員、嘱託社員等の非正規社員)と通常の労働者(無期雇用・フルタイム社員)との間で、賃金や福利厚生等の待遇に不合理な差をつけることを禁止するもの」(独立行政法人中小企業基盤整備機構 J-Net21「ビジネスQ&A 『同一労働同一賃金』とは、同じ仕事をしていたら同じ賃金を支払わないといけないということでしょうか」より引用)です。

端的にいえば、非正規雇用の人が正社員と同じ仕事をしている場合は、待遇に差をつけてはいけない、というルールです。
これは、2020年に「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されたことで適用され、厚生労働省同一労働同一賃金ガイドラインを出しています。

このガイドラインには、「賞与」(=ボーナス)についてのルールも示されていて、以下のように書かれています。

【厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」より「賞与」について】

2 賞与

賞与であって、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについて、通常の労働者と同一の貢献である短時間・有期雇用労働者には、貢献に応じた部分につき、通常の労働者と同一の賞与を支給しなければならない。
また、貢献に一定の相違がある場合においては、その相違に応じた賞与を支給しなければならない。

(問題とならない例)

イ 賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているA社において、通常の労働者であるXと同一の会社の業績等への貢献がある有期雇用労働者であるYに対し、Xと同一の賞与を支給している。

ロ A社においては、通常の労働者であるXは、生産効率及び品質の目標値に対する責任を負っており、当該目標値を達成していない場合、待遇上の不利益を課されている。その一方で、通常の労働者であるYや、有期雇用労働者であるZは、生産効率及び品質の目標値に対する責任を負っておらず、当該目標値を達成していない場合にも、待遇上の不利益を課されていない。A社は、Xに対しては、賞与を支給しているが、YやZに対しては、待遇上の不利益を課していないこととの見合いの範囲内で、賞与を支給していない。

(問題となる例)

イ 賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているA社において、通常の労働者であるXと同一の会社の業績等への貢献がある有期雇用労働者であるYに対し、Xと同一の賞与を支給していない。

ロ 賞与について、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給しているA社においては、通常の労働者には職務の内容や会社の業績等への貢献等にかかわらず全員に何らかの賞与を支給しているが、短時間・有期雇用労働者には支給していない。

出典:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン

わかりやすくいえば、以下のようになるでしょう。

  • 正社員と同様の業務を行って同様の貢献をした非正規雇用者(派遣含む)には、正社員と同じボーナスを支払わなければいけない
  • 貢献度に差がある場合は、その貢献度に応じたボーナスを支払わなければいけない

いずれの場合も、正社員がボーナスをもらうなら、派遣にももらう権利があるというわけです。

ただ、前述したようにこのボーナスを、最初から上乗せして時給を決めている派遣先も多いのが現状です。
というのも、ボーナスは年に2〜3回の決められた時期に支給されますが、短期の派遣だとその支給日より前に契約が終了してしまうケースがあります。
それではボーナスがもらえなくなってしまうため、最初から働いた日数分のボーナスをもらえるよう、時給に上乗せしているのです。

つまり、派遣もボーナスをもらう権利はあるけれども、ボーナス月にまとめてもらうケースは少なく、時給に組み込まれているケースが多い、ということになるでしょう。

 

2.派遣社員でもボーナスがもらえる可能性があるケース

派遣社員でもボーナスがもらえる可能性があるケース

では、派遣社員が正社員と同じように「ボーナス」という形でまとまった金額を受け取れるのはどんなケースでしょうか?
それは前述したように、以下の4つの場合です。

  • 紹介予定派遣の場合
  • 派遣先均等・均衡方式での就業の場合
  • 常用型派遣で就業する場合
  • 派遣会社にボーナス制度がある場合

それぞれ説明します。

2-1.紹介予定派遣の場合

まず、派遣の中でも「紹介予定派遣」の場合は、ボーナスをもらえる可能性があります。

紹介予定派遣とは、最初は派遣社員として派遣先企業で就業して、一定期間ののちに派遣先から直接雇用されることを前提とした派遣の形態です。
3ヶ月、6ヶ月といった有期の派遣期間に、本人は職場と業務に慣れ、スキルを磨くことができますし、企業側は試用期間として本人の能力を見極めることができます。
そのため、正社員や契約社員を目指す人に向いている派遣形態だと言えるでしょう。

この紹介予定派遣の場合、派遣期間後に派遣先と直接雇用契約を結べば、ボーナスを受け取れるようになります
(ただし、その企業にもともとボーナス制度がなければもらえませんので、事前に派遣会社の担当者を通じて確認が必要です。)
派遣期間はボーナスはないでしょうが、「のちにもらえるようになる」というケースです。

2-2.派遣先均等・均衡方式での就業の場合

もうひとつは、「派遣先均等・均衡方式」という形での就業であれば、派遣であってもボーナスがもらえます。

派遣社員がボーナスをもらえるのは、前述したように「同一労働同一賃金」というルールがあるためです。
この「同一労働同一賃金」を実践するに際して、企業は「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」というふたつの待遇の決め方のうち、いずれかを選ばなければなりません。
それぞれの方式は以下です。

派遣先均等・均衡方式

派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇
→派遣社員が、派遣先企業の正社員と同じ業務内容、同じ責任の仕事をしている場合は、給与や賞与などの待遇は正社員と同じ規定が適用される
 業務内容や責任範囲が異なる場合は、その違いに応じた待遇が受けられる

労使協定方式

一定の要件を満たす労使協定による待遇
→派遣先ではなく派遣会社と労働者が労使協定で待遇の基準を定め、派遣社員にはそれが適用される

派遣先均等・均衡方式の場合、派遣先の社員と同じ待遇が受けられるので、ボーナスの制度があれば派遣社員でもボーナスがもらえます。
一方労使協定方式の場合は、ボーナスはありますが時給に組み込まれているため、まとまった金額を受け取ることはできません。

派遣先均等・均衡方式か労使協定方式かの情報は、ホームページに掲載されているはずですが、求人を見てもわからなければ、派遣会社に確認してください。

このふたつの方式については、「4.派遣社員のボーナスの有無・金額を決める2つの方法」でさらにくわしく説明します。

2-3.常用型派遣で就業する場合

また、派遣の中でも「常用型派遣」の場合は、ボーナスが出る可能性があります。

「常用型派遣」とは、派遣会社と期限を決めずに雇用契約を結び、派遣社員として派遣先企業で働く形態です。
「無期雇用派遣」とも呼ばれ、それに対して契約期間を決めて就業する通常の派遣を「登録型派遣」「有期雇用派遣」といいます。

登録型派遣の場合、派遣先への就業が決まった際に雇用の契約をし、期間が満了すれば契約も終了になります。
そのため、「1-2.派遣社員のボーナスは『同一労働同一賃金』によってもらえる」で説明したように、ボーナスがある場合でも、時給に上乗せして支払われます。

一方常用型派遣は、派遣先での就業期間が満了して、次の派遣先が決まらなくても、派遣会社との雇用関係は続いています。
派遣会社にボーナス制度があれば、それにしたがってボーナスをもらうことができるのです。
ボーナス制度の有無は、派遣会社の担当者を通して確認してください。

2-4.派遣会社にボーナス制度がある場合

さらに、派遣会社の中には、常用型派遣でなくても一定の基準を満たせばボーナスが支給されるところもあります。

ただ、ボーナス支給の条件は派遣会社ごとに異なり、勤務日数や労働時間など決められた条件を満たしていなければ、ボーナス制度があっても支給を受けられません。
「ボーナスがあると聞いていたのに、もらえなかった」ということがないよう、事前に派遣会社の担当者に確認が必要です。

 

3.派遣社員がもらえるボーナス額の平均は?

派遣社員がもらえるボーナス額の平均は?

ここまで、派遣社員がボーナスをもらえる可能性について説明してきました。
では、実際にもらえた場合、金額はどのくらいなのでしょうか?

WEB情報メディア「エラベル」が66名を対象に2022年に実施した派遣会社のボーナスに関するアンケート調査では、「派遣会社のボーナス平均は約17.5万円」(エラベル「【アンケート調査】派遣社員にボーナスはある?ない?リアルな平均額は〇〇万円!」より引用)だったそうです。

同時期の厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等」によると、夏期賞与の一人当たり平均額は「​​38万9,331円」とのことですから、半分以下と言えます。

ただ、「アンケートの中には支給額が50万円を超えるケースも見受けられました」(エラベル「【アンケート調査】派遣社員にボーナスはある?ない?リアルな平均額は〇〇万円!」より引用)とのことなので、派遣といえども多くのボーナスが支給される例もまれにあるようです。

 

4.派遣社員のボーナスの有無・金額を決める2つの方法

派遣社員のボーナスの有無・金額を決める2つの方法

さて、ここまでで派遣社員のボーナスについて、くわしく説明してきましたが、「2-2.派遣先均等・均衡方式での就業の場合」では簡単にしか触れなかった「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」についても掘り下げておきましょう。
これは派遣社員のボーナスの有無、金額を左右するものなので、どんな制度か理解しておいてください。

4-1.派遣先均等・均衡方式の場合

「派遣先均等・均衡方式」とは、派遣社員の待遇を派遣先企業の正社員と同等にするやり方です。

  • 均等待遇:業務の内容と責任の程度が同じ場合は、待遇で差別をしてはいけない
  • 均衡待遇:業務の内容と責任の程度が異なる場合は、その違いに応じた待遇をする
        違いを考慮しても不合理だと感じるような差をつけてはいけない

というふたつのルールからなっています。

簡単に言えば、正社員と派遣社員がまったく同等な仕事をしている場合、正社員に50万円のボーナスを支給するなら派遣社員にも50万円支給しなければなりません。

もしくは、正社員に対して業務内容も責任も半分程度の仕事を派遣社員がしている場合、正社員のボーナスが50万円なら派遣社員のボーナスは半分の25万円が適正です。
派遣のボーナスを10万円にしたり、なしにしたりしてはいけないのです。
反対に、正社員にボーナス制度がなければ、派遣社員もボーナス支給はありません。

派遣先社員の待遇を基準として、派遣社員の待遇が決まるため、同じ派遣会社の同じ派遣社員でも、A社に派遣されるときとB社に派遣されるときとでは待遇が変わります。
ボーナス制度のある派遣先ではボーナスがもらえていても、ない派遣先に移れば自分ももらえなくなるというわけです。

ちなみにこの待遇を実現するために、派遣先企業は派遣会社に対して、自社の正社員の給与やボーナスなど待遇の情報を事前に伝える義務があります。
この情報がなければ、派遣会社は契約を結んではいけない決まりになっています。

【派遣先均等・均衡方式】

派遣先均等・均衡方式

出典:厚生労働省「派遣労働者の≪同一労働同一賃金≫の概要(平成30年労働者派遣法改正)

4-2.労使協定方式の場合

一方の「労使協定方式」は、派遣会社と派遣社員とで話し合い、労使協定で待遇を決めるやり方です。
「派遣先均等・均衡方式」が派遣先正社員の待遇を基準としているのに対して、「労使協定方式」は派遣会社内で基準を決めます

この話し合いは、派遣会社の正社員、派遣社員を含む全労働者の過半数が属する労働組合か、同じく全労働者の過半数を代表する者と派遣会社との間で行います。
そこで同意された待遇にもとづいて、全労働者の待遇が決まるわけです。

つまり、労使協定でボーナスなしとなれば、派遣会社の正社員も派遣社員もボーナスは支給されません。
ボーナスありとなった場合でも、労使協定方式ではボーナスは時給に上乗せされる形で支給されます。

 

5.派遣社員がボーナスをもらう方法

派遣社員がボーナスをもらう方法

派遣社員のボーナスのしくみ、決まりはわかりました。
が、「それよりも、自分はボーナスがほしいので、もらえる方法が知りたい」という方も多いでしょう。

派遣社員がボーナスをもらう方法としては、以下のようなものが考えられます。

  • ボーナス制度のある派遣先企業に、紹介予定派遣で就業する
  • 派遣先均等・均衡方式をとっている派遣業務に応募する
  • 派遣会社の常用派遣求人に応募する
  • ボーナス制度がある派遣会社に登録、就業する

5-1.ボーナス制度のある派遣先企業に、紹介予定派遣で就業する

まず、ボーナス制度のある派遣先企業に、紹介予定派遣で就業し、正社員か契約社員になってボーナスを受け取る方法です。
派遣会社のサイトで「紹介予定 賞与あり」などと検索すれば、ボーナスのある紹介予定派遣の求人が見つかります。
それに応募して、就業が決まれば紹介予定で働けるようになるでしょう。

ただし、紹介予定はあくまで予定です。
派遣期間が終了したあと、かならず正社員や契約社員になれるとは限りません。
直接雇用の契約をされず、契約終了になってしまう場合もあり、そうなるとボーナスはもらえないままですので、直接雇用されるように努力する必要があるでしょう。

5-2.派遣先均等・均衡方式をとっている派遣に応募する

ボーナス制度があり、派遣先均等・均衡方式をとっている派遣の求人に応募するという方法もあります。
派遣先均等・均衡方式か労使協定方式かの情報は、原則的にホームページに掲載することになっていますが、求人を見てもわからなければ、派遣会社に確認するといいでしょう。
派遣会社は、派遣労働者にその情報を伝える義務がありますので、教えてくれるはずです。

5-3.派遣会社の常用型派遣求人に応募する

また、ボーナス制度がある派遣会社の、常用型派遣求人に応募するのもいいでしょう。
「常用型派遣」「無期雇用派遣」などで求人サイトを検索すると、該当する求人が見つかります。

ただ、常用型派遣の場合、通常の登録型・有期雇用派遣とは違って採用選考がありますので、採用されない可能性もあります。
が、採用されれば最初から無期雇用の派遣社員として契約できますので、その派遣会社の規定に沿ったボーナスがもらえるでしょう。

5-4.ボーナス制度がある派遣会社に登録、就業する

もうひとつの方法は、常用派遣でなくても条件を満たせばボーナスをもらえる制度がある派遣会社に登録して、条件を満たすように就業することです。

ホームページなどでわかりにくければ、派遣会社に問い合わせてみれば教えてもらえるでしょう。

 

6.よくある質問

よくある質問

さて、ここまで派遣のボーナスについていろいろな視点から説明してきました。
が、「まだ知りたいことがある」という方も多いでしょう。
そこで最後に、派遣のボーナスについてよくある質問に回答しておきましょう。

6-1.「Q. 派遣先の業績がいいので特別ボーナスが出るらしい。派遣社員にも何かボーナスのようなものは期待できる?」

派遣先企業の業績が上がり、通常のボーナス以外に決算賞与などが出ることもあります。
同じ仕事をしている正社員が臨時ボーナスをもらえるなら、派遣にも何か欲しいと思ってしまうかもしれません。

が、派遣契約では、派遣社員に給与を支払うのは派遣元である派遣会社と決められていて、派遣先企業が直接支払うことは違法です。
賞与も同様なので、この場合も期待はできないでしょう。

もし、派遣先がどうしても派遣社員にボーナスを渡したいという場合は、いったん派遣会社を経由するしかありません。
「ボーナスとして支払って欲しい」と伝えてその金額を派遣会社に支払うのです。
ただ、残念ながら派遣会社側がそれを派遣社員に渡す義務はありません。
派遣先はボーナスを渡したつもりでも、派遣社員の手元には渡らない恐れもあります。

派遣先企業の中には、ボーナスではなく「寸志」として少額の現金を直接派遣社員に渡すところもあるようです。
が、これも厳密にいえばボーナスと同様で、違法になりかねません。

結局、派遣社員のボーナスが期待できるのは、法的には以下のケースだと言えるでしょう。

  • 紹介予定派遣の場合
  • 派遣先均等・均衡方式での就業の場合
  • 常用型派遣で就業する場合
  • 派遣会社にボーナス制度がある場合

7.まとめ

いかがでしたか?
派遣のボーナスについて、くわしく理解できたかと思います。
ではあらためて、記事の要点をまとめておきましょう。

◎派遣社員でもボーナスがもらえる可能性はある

◎派遣社員でもボーナスがもらえる可能性があるケースは、

  • 紹介予定派遣の場合
  • 派遣先均等・均衡方式での就業の場合
  • 常用型派遣で就業する場合
  • 派遣会社にボーナス制度がある場合

◎派遣社員のボーナスの有無・金額を決める2つの方法は、

  • 派遣先均等・均衡方式:派遣社員の待遇を派遣先企業の正社員と同等にする
  • 労使協定方式:派遣会社と派遣社員とで話し合い、労使協定で待遇を決める

◎派遣社員がボーナスをもらう方法は、

  • ボーナス制度のある派遣先企業に、紹介予定派遣で就業する
  • 派遣先均等・均衡方式をとっている派遣業務に応募する
  • 派遣会社の常用派遣求人に応募する
  • ボーナス制度がある派遣会社に登録、就業する

以上を踏まえて、あなたが派遣でもボーナスを受け取れるよう願っています。