建設業界のプラントとは|エンジニアの年収や働き方、将来性を解説

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建設業界のプラントとは|エンジニアの年収や働き方、将来性を解説

「建設業界のプラントって何のこと?」
「建設業を調べると出てくるよね。確かにプラントの意味がよくわからない…」

こんな疑問をお持ちではないでしょうか。

建設業界のプラントとは、『暮らしや経済活動に欠かせない生産設備や配管、その架台や建物など一式や産業施設全体。及びその設計、設置、工事をすること』です。

プラント(plant)は「植物」や「生産設備」などを指す言葉ですが、建設業では「大型の生産設備一式や製造工場施設全体」という意味で使われます。

たとえば、プラントで働く技術者「プラントエンジニア」の仕事としては、次のようなものが挙げられます。

  • セメントや金属、医薬品、食品などの製造、建設、設置に携わる​​
  • 製品をつくる素材や物の動力源(化学製品)の製造、建設、設置に携わる
  • 浄水やごみ、廃棄物処理に関わる設備の設計、建設、設置に携わる

上記を見ると、プラントエンジニアの仕事は多岐に渡っていることから、実際の働き方ってどうなの?と疑問に思う人が多いかもしれません。

また、実際に働くときの将来性や年収も気になりますよね。

そこでこの記事では、プラントエンジニアの働き方について下記のことを詳しく説明します。

「プラントエンジニア」について記事を読めばわかること

  • プラントエンジニアの分野
  • プラントエンジニアの仕事の流れ
  • プラントエンジニアの年収や月収
  • プラントエンジニアの働き方
  • プラントエンジニアになる方法

これを読めば、建設業界のプラントが具体的に把握でき、プラントエンジニアがあなた向きの仕事かどうかの判断ができるようになりますので、ぜひ最後まで目を通してもらえたらと思います。

まずは、建設業界のプラントとは?という所から、使える知識をインプットしていきましょう。

 

目次

1.建設業界のプラントとは

建設業界のプラントとは

それではさっそく、建設業界のプラントについて形態から解説します。

  • 建設業界の「プラント」とは産業施設の工事をすること​​
  • 建設業界のプラント|主な種類3つ
  • プラント建設で行う工事は2種類​​
  • プラント建設の特徴は規模が大きく多くの人が関わること

建設業界のプラントとは何なのか?が、具体的につかめるようになりますので、順番にみていきましょう。

1-1.建設業界の「プラント」とは産業施設の工事をすること

建設業界のプラントとは、『暮らしや経済活動に欠かせない生産設備や配管、その架台や建物など一式や産業施設全体。及びその設計、設置、工事をすること』​​。

端的にいうと、エネルギーや工業材料などを生み出す産業施設の工事をすることです。

建設業では「プラント」は「大型の生産設備一式や製造工場」という意味で使われます。

プラントと工場は同じ意味で使われることもありますが、プラントは工場の中でも特に、複数の設備をもってエネルギーを生みだしたり物質を製造したりする工場になります。

プラントは複数の設備が合わさったものから構成されるのに対し、工場の場合は設備が1つだけです。

押さえよう!プラントと工場の違い
大きな設備があっても、1種類の場合はプラントではなく工場です。小規模であっても、設備が複数あればプラントに分類されます。

そして、生産設備となる各機械や配管、その架台や建物など一式の設計や工事を担う業界を「プラント業界」と呼んでいます。

「プラント業界」は、プラント自体を建設する企業だけでなく、部品や機器を提供するメーカーや商社も含めた総称です。

建設業界のプラント 図解
プラント業界の仕事の具体例として、食品や医薬品のメーカーや石油やガスを取り扱う企業から依頼を受け、工場や生産設備を設計、設置、建設することが挙げられます。

設計だけでなく、完成したあとのメンテナンスや修繕を請け負うこともあります。

1-2.建設業界のプラント|主な種類3つ

建設業界のプラントは『大型の生産設備一式や製造工場​​を指す』と先述しましたが、その中にもさまざまな種類があり、大きく3つに分類することができます。

  • 産業系プラント
  • 化学系プラント
  • 環境系プラント

3つの種類各々の仕事をわかりやすく下表にまとめましたので、ご覧ください。

種類

特徴

主な現場

産業系プラント

人々が生活するうえで必要な物の
製造、建設、設置に携わる​​
(製品例:セメント、金属、医薬品、食品​​)

  • 食品工場
  • 製薬工場
  • 製鉄工場
  • セメント工場

化学系プラント

製品をつくる素材や物の動力源(化学製品)の
製造、建設、設置に携わる
(製品例:水素、塩素、肥料、合成繊維原料​​)

  • 発電所
  • 化学工場
  • ガス精製工場

環境系プラント

浄水やごみ、廃棄物処理に関わる設備の設計、
建設、設置に携わる

  • 浄水場
  • 下水処理場
  • 環境維持に必要な施設

プラントの種類には決まった分け方がないことから、この他に「電力系プラント」が挙げられる場合もあります。

電力系プラントは、化石燃料や原子力、地熱や太陽光を原料に電力の生産に携わるプラントで、新エネルギーや再生可能エネルギーの活用が推進される近年、注目を集めています。

1-3.プラント建設で行う工事は2種類

建設業界のプラントとは「大型の生産設備一式や製造工場​​」のことです。

そして、「生産設備一式や製造工場​​」​​の建設のことを、“プラント建設” といいます。

プラント建設は、産業分類としては、下記の​​2つの種類に分類されます。

  • 機械器具設置工事
  • 設備工事

端的にいうと、「機械器具設置工事」は『組み立てて取り付ける工事』で、「設備工事」は『(組立なしの)設備の工事』ということです。

それぞれ説明していきましょう。

1-3-1.機械器具設置工事

「機械器具設置工事」は、機械器具の組立などに伴い工作物を建設、または工作物に機械器具を取り付ける工事のことを指します。

簡単にいうと、『建設現場で複数のものを組み立てて連動させる工事』です。

<大がかりな機械器具設置工事​​のイメージ>

大がかりな機械器具設置工事​​のイメージ

身近なところでたとえると、材料だけが揃ったプラモデルを1から組み立てることをイメージするとわかりやすいでしょうか。

機械器具設置工事では、組み立てて取り付け(設置)、動かす所まで請け負います。

組み立てなどを必要としない機械器具工事は、機械器具設置工事に当てはまりません。

1-3-2.設備工事

設備工事とは、建築物で利用される設備を導入するための工事です。

配管など地下構造の建設から、設備として目に見える部分の内装仕上工事まで、様々な所を取り扱います。

<例:ビル屋上の空調設備>

例:ビル屋上の空調設備

<例:ビルに設置されたボイラー>

例:ビルに設置されたボイラー

身近なたとえでいうと、こちらはプラモデルと違って、あらかじめ完成しているロボットを所定の場所に設置するイメージになります。

設備工事は、電気やガス、水道、衛生設備など建築物の機能面において非常に重要な工事です。

1-4.プラント建設の特徴は大規模工事により多くの人が関わること

プラント建設の特徴は、通常の建設現場や土木現場​​に比べて規模が大きく、桁違いに多くの人が関わるという所です。

なぜなら、プラント建設の工事は協力会社が多いからです。

協力会社とは、建設業者から発注を受けて専門工事を行う建設業者のことを指します。

プラント工事は、企画や設計、建設工事から施工管理、保守・メンテナンスなどの業務を様々な企業が請け負う(協力する)体制で進められます。

様々な企業の協力体制の図
そして、当然ながら、協力会社が多い分、作業に関わる人の数も他の建設現場と桁違いです。

たとえば、100億円規模の石油化学コンビナートの製造装置の工事では、ピーク時の作業員が3,000人、述べ約70,000人もの人が携わるといいます。

このように、プラント建設の現場では、電気や機械の専門領域や建築土木の基礎領域、製造する素材や製品の業者、作業員と多くの人が関わり、ひとつの工事の完成に向かって作業に取り組みます。

大勢との協力体制の中で自分の知識や能力を役立て、責任の一角を担っていきたい人にとっては、充実感を得られる仕事といえるでしょう。

いかがでしょうか。

ここまでの解説で、建設業界のプラントについて、具体的なイメージができたかと思います。

次章からは、プラントで働く技術者、プラントエンジニアの仕事について、具体的な仕事内容や働き方、必要な資格などについてくわしく解説していきます。

あなたがプラント業界で働くとしたら?、ということを念頭において読み進めてくださいね。

 

2.建設業界の「プラントエンジニア」は4つの分野に分かれる

建設業界の「プラントエンジニア」は4つの分野に分かれる

プラントエンジニアは、専門領域によって次の4つの分野に分けられ、それぞれ仕事の内容が異なります。​​

  • 機械系
  • 化学系
  • 電気系
  • 土木・建設系

各々の仕事内容と必要となる知識を把握しておきましょう。

2-1.機械系のプラントエンジニア

機械系のプラントエンジニアは、プラントの設計から構築、保守管理や、プラント内の機械設備の設計や開発などを担当​​する仕事をします。

機械系プラントエンジニアは大学の工学部で学ぶなど、機械工学系の専門的知識が必要です。

2-2.化学系のプラントエンジニア

​​化学系のプラントエンジニアは、石油や鉱物などの原料を製品にするまでの工程を構築、マネジメント​​する仕事をします。

化学系プラントエンジニアには、化学製品や化学薬品、化学変化などの専門知識が必要です。

​​2-3.電気系のプラントエンジニア

電気系のプラントエンジニアは、プラントの電力供給システムや制御システムなどの電気系統を構築、マネジメント​​する仕事をします。

電気系プラントエンジニアには、電気工学や電子工学、配電制御や配電方法などの知識が必要になります。

​​2-4.土木・建設系のプラントエンジニア

土木・建設系のプラントエンジニアは、プラントの建設や土地の整備・開発を中心にマネジメントする仕事をします。

また、プラントを支える土地から港湾、道路、建屋、プラント建設などを幅広く担当します。

土木・建設系プラントエンジニアには、土木工学の知識が必須です。

CHECK!

【建設業界のプラントエンジニアの職場】

職場としては、どの分野のプラントエンジニアも共通して、

  • プラント企業の一部門に在籍する
  • (プラント専門ではない)建設会社に在籍しながらプラント関連業務を請け負う

という2つのパターンが考えられます。

 

 

3.一覧で流れをつかもう!プラントエンジニアの主な仕事をステップで解説

一覧で流れをつかもう!プラントエンジニアの主な仕事をステップで解説

仕事内容がいまひとつピンとこないという方のために、「プラントエンジニア」が携わる具体的な仕事を、流れに沿ってご説明します。

プラントエンジニアの仕事の流れ

ステップ1|施工管理

ステップ2|基本の設計

ステップ3|詳細な設計

ステップ4|資材や部品の調達

ステップ5|工事の管理・確認

ステップ6|完成機器の確認作業

順にみていきましょう。

3-1.ステップ1|施工管理

最初に行うのが施工管理です。

施工管理とは、建設工事の現場技術者を指揮監督し、作業の安全性やスケジュール管理など、プラントの工事全体を管理する仕事です。

プラントエンジニアは、工事現場の施工や予算、安全面に加え、役所への手続きや書類作成など工事に関わる全てを管理し、進捗させる業務を行います。

3-2.ステップ2|基本の設計

次に基本となる設計を行います。

プラントは多数の機械設備に関わる工事であるため、最初は大まかな設計を行い、徐々に細かな部分のプランを立てていきます。

基本の設計では、クライアントのニーズに基づき、外観、機構、機器の構成、駆動系の仕様などを決定し基本計画図を作成します。

この際、クライアントへのプレゼンや、その後の見積もり作業にも使用することを意識して、できるだけ、この時点での多くの情報を織り込むことが肝心です。

3-3.ステップ3|詳細な設計

次に、詳細な設計の作業に入ります。

基本の設計を元に、ボイラー機器などの機械設計、配管の設計、電力設備や制御システムなどの電気設備設計など、さまざまな設計を各専門のプラントエンジニアが分担して行っていきます。

製作メーカーや施工会社といった社外関係先、社内の機械、電気、土木の各部門と協議を重ねながら、設計を詰めていきます。

ミスが起こらないよう、この段階でしっかり確認しておくことが重要になります。

3-4.ステップ4|資材や部品の調達

各機器の設計図をもとに資材や部品の調達をするのも、プラントエンジニアの仕事です。

仕様書を元に見積もりを依頼し、費用や工期などを考え、以下の手順で資材を調達します。

  • 複数のメーカーに見積もりを依頼する
  • 費用や工期、性能などを比較して導入する機器(メーカー)を決定する
  • メーカーと打ち合わせを行う

メーカーと打ち合わせでは、メーカーの作成した図面や書類が依頼したものと合っているか確認を行い、問題がある場合は修正を依頼します。

3-5.ステップ5|工事の管理・確認

プラントエンジニアは管理者として工事の現場にも立ち会います。

現場に立ち会い、工事全体や作業員へ技術的な指導を行うのもプラントエンジニアの仕事です。

また、設計や仕様どおりに工事が進んでいるか、定期的に確認します。確認時に問題がある場合は、作業内容の見直しやスケジュールの変更作業が発生します。

3-6.ステップ6|完成機器の確認作業

機器が完成したら、下記のような、安全面も含めた確認作業を行います。

  • 仕様書通りになっているか
  • 設計した通りに機器が作動するか
  • プラントに求められる性能が発揮できているか

作った機器は確認だけでなく、試運転も行います。

試運転は、設計通りにすべての機器が動いているのか、性能が発揮できているのかを確認する最終チェックです。

機器の動作や試運転だけでなく、安全性も確認し、問題がなければ、クライアントにプラント設備を引き渡します。

CHECK!

【引き渡し後にも仕事がある】

大まかな仕事の流れはこのようになりますが、ほとんどの場合、稼働から1〜2年の保証期間が定められているので、その間にトラブルがあれば対応する作業が発生します。

こうしたメンテナンスも、プラントエンジニアの仕事のひとつです。

 

​​4.【年代別】プラントエンジニアの年収

【年代別】プラントエンジニアの年収

気になるプラントエンジニアの年収ですが、傾向として他の職種と比べると高めといえます。

会社の規模、役職や分野によっても差異がありますが、求人やアンケートサイトからの情報を元に年収の相場をまとめると、下記のようになります。

年代

年収の相場 

20代

500万円〜650万円

30代

600万円〜900万円

40代

700万円〜1,200万円

※求人やアンケートサイトの情報を参考に作成したもので、あくまでも目安です。

国税庁の「令和2年|民間給与実態統計調査​​」によると、20代前半の平均年収は260万円となっています。

同じ年代のプラントエンジニアは倍近くの年収であることからも、かなり高収入であることがわかりますね。

プラントエンジニアは、出張や残業が頻繁にあり、ハードではありますが、そのぶん手当も多く得られます。

プロジェクトで担う大きな責任も、高い収入に比例しているといえるでしょう。

 

5.激務?プラントエンジニアの働き方

激務?プラントエンジニアの働き方

高収入が期待できるプラントエンジニアですが、一方で下記のような理由から、他の職種に比べて激務であるといわれています。

  • 残業が多い
  • 打ち合わせが多い
  • 出張が多い

それぞれみていきましょう。

5-1.残業が多い

プラントエンジニアは、1人が担う仕事の量が多いため、どうしても残業が多くなります。

プラントエンジニアの仕事は、分業が難しく、1人が請け負う業務の範囲が普通より広いのが特徴です。

また、複数の案件を並行して行うことも、珍しくありません。

正確さや緻密さが求められる仕事である上に、業務量も多いことから、勤務時間内に対応することは難しく、土日出勤や残業が常態化している職場も珍しくありません。

5-2.打ち合わせが多い

プラントエンジニアの仕事は、日々さまざまな会社や人との打合せに忙殺されます。

​​プラント建設では協力会社が多く、作業に関わる人も多いため、それぞれとの交渉や調整に時間がとられます。

1人で行う業務も多い上に、打ち合わせにも多くの時間がとられる、ハードな仕事といえます。

5-3.出張が多い

プラントエンジニアは、国内外を問わず出張の多い仕事です。

現場が次々と変わるため、プラントエンジニアは勤務地が不特定になります。

そのたび現場を訪れ、定期的なメンテナンスに数週間かかることもありますし、新たなプロジェクトの立ち上げでは、数ヶ月現地に滞在しなければならないこともあります。

 

6.プラントエンジニアになる方法2つ

プラントエンジニアになる方法2つ

プラントエンジニアになるには、一般的には、大学の理工学部や専門学校等で機械工学を習得して、知識を得ておくことが求められます。

その後は、下記の2つの方法があります。

①プラントメーカーに就職する
②設計・施工会社に就職する

6-1.プラントメーカーに就職する

1つ目は、プラントメーカーに就職する方法です。

プラントメーカーとは、エネルギー、化学、食品、製鉄、水処理、焼却炉などの設備や機械を製造する会社です。

プラントエンジニアは、プラントメーカーで、3章「一覧で流れをつかもう!プラントエンジニアの主な仕事」で示したような、設計・見積もり、資材調達、建設工事などに携わります。

6-2.プラント部門のある設計・施工会社に就職する

もうひとつの方法として、プラント部門のある設計・施工会社に就職することが挙げられます。

設計・施工会社では、プラントメーカーからの依頼を受けて、プラント作りに携わる「プラント部門」を持つ会社があります。

ただこちらの方法に関しては、中小ではプラント部門を設けている会社は少ないことと、プラント部門のある会社に就職しても、かならずしもそこに配属されるとは限らないデメリットがあります。

CHECK!

【文系出身者もプラントに就職できる】

大学の理工学部や専門学校等で機械工学を習得して…と先述しましたが、文系の人はプラント業界に就職できないわけではありません。

就職四季報(2020年度版)によると、国内大手プラント企業の日揮ホールディングスの採用者61名の内訳は、次のようになっています。

文系の採用者 → 10名
理系の採用者 → 51名

5分の1の割合ではありますが、文系からプラント企業への就職を成功させている人もいるのです。

参考:就職四季報2020年度版​​

 

7.プラントエンジニアになるために必要な資格やスキル

プラントエンジニアになるために必要な資格やスキル

プラントエンジニアになるために、絶対に必要な資格というのはありません。

ただ、下記のような資格やスキルを持っていれば、就職や転職に有利に働く可能性が高くなります。

  • 一級建築士
  • 技術士
  • 建築施工管理技士/電気工事施工管理技士​​
  • TOEIC

それぞれ解説します。

7-1.一級建築士

一級建築士は、国土交通大臣からの認可を受ける国家資格で、取得すれば、設計する建物に制限がなくなります。

たとえば、戸建住宅のように、比較的小規模な建築物から、オリンピック競技施設など、国を代表する大規模な建築物の設計まで行うことができます。

<受験資格>

  • 4年制大学卒業後(指定科目有り)、2年の実務経験
  • 建築系の短期大学を卒業後、3~4年の実務経験
  • 二級建築士として実務経験が4年以上

詳しくは、こちらをご確認ください。
公益財団法人|建築技術教育普及センター

7-2.技術士

技術士は、科学技術の技術的な専門知識と高等の専門的な応用能力、実務経験を有していることが認定された資格​​です。

<受験資格>

  • 一次試験は不問。
  • 年齢、国籍、学歴、実務経験など一切問われない。

詳しくは、こちらをご確認ください。
公益財団法人|日本技術士会

 

7-3.建築施工管理技士/電気工事施工管理技士

建築施工管理技士電気工事施工管理技士は、​​建築工事、電気工事の実施において、施工計画、施工図の作成、工程管理、品質管理、安全管理などを適確に行う技術を有していることを認定する資格です。

<受験資格>

  • 満17歳以上

詳しくは、こちらをご確認ください。
建設業振興基金|施工管理技術検定

7-4.TOEIC

TOEICは、アメリカで開発された英語によるコミュニケーションとビジネス能力を検定するための試験で、評価はスコアの数値で行われ、満点は990点になります。

プラントエンジニアは海外案件を扱うことが多く、また、海外でプラントを建設しなくても、購入する機器などが海外製という場合もあり、日常英会話は必須です。

資格が必要と定められているわけではありませんが、英語が理解できないと仕事に支障をきたすこともあるので、TOEICで一定の点数を獲得していることは、信頼性につながり、就職(転職)に有利に働きます。

具体的には、800点以上のスコアが望ましいでしょう。

試験について、詳しくは下記にてご確認ください。
IIBC一般財団法人ビジネスコミュニケーション協会|ETS TOEIC

 

8.建設業界でプラントエンジニアになることが「向いている人」・「向いていない人」

建設業界でプラントエンジニアになることが「向いている人」・「向いていない人」

プラントエンジニアの仕事について、イメージがつかめてきたのではないでしょうか。

この章では、建設業界でプラントエンジニアとして働くことが「向いている人」と「向いていない人」を挙げていきます。

プラントエンジニアが
「向いている人」

  • 年収が高い仕事に就きたい人
  • スケールの大きい仕事がしたい人
  • やりがいのある仕事がしたい人
  • 海外案件に関わりたい人
  • 好きな仕事なら長時間労働も苦にならない人

プラントエンジニアが
「向いていない人」

  • 長時間勤務に抵抗がある人
  • コミュニケーションが苦手な人
  • 出張が多いのに抵抗がある人
  • 独立をめざしている人

あなたは向き、不向き、どちらに該当するでしょうか。考えながらみていってくださいね。

8-1.プラントエンジニアが「向いている人」

プラントエンジニアとして働くことが向いているのは次のような人です。

8-1-1.年収が高い仕事に就きたい人

プラントエンジニアは、年収が高い仕事に就きたい人におすすめの職業です。

専門知識や技術が要求されるプラントエンジニアは他の職種に比べて高い収入が得られます。
出張や残業も頻繁にあり、ハードではありますが、そのぶん手当も多く得られます。

8-1-2.スケールの大きい仕事がしたい人

スケールの大きい仕事がしたいという人には、プラントエンジニアが向いています。

プラントエンジニアは、案件にもよりますが、数千万~数十億、ときには数百億円規模のスケールの大きなプロジェクトを担当する可能性があります。

8-1-3.やりがいのある仕事がしたい人

やりがいのある仕事がしたい人は、プラントエンジニアをめざしましょう。

大人数のプロジェクトの責任を担うプラントエンジニアは、やりがいを感じる人の多い仕事です。
社会基盤を支え、また発展途上国などの発展にも貢献したりと社会貢献度の大きさを実感しやすい職業でもあります。

8-1-4.海外案件に関わりたい人

プラントエンジニアは、海外案件に関わりたい人にピッタリの職業です。

近年、プラントエンジニアリング業の約2割程度が海外からの受注といわれています。
海外赴任や出張も増加傾向なので、海外勤務への憧れがある人にとっては魅力的な仕事です。

8-1-5.好きな仕事なら長時間労働も苦にならない人

好きな仕事なら長時間の労働も苦ではないという人に、プラントエンジニアの仕事がおすすめです。

プラントエンジニアの仕事では、ほとんどの場合、長時間勤務が求められます。
その分、高収入でやりがいもあるので、仕事が好きで、余暇がなくても構わないという人に向いています。

8-2.プラントエンジニアが向いていない人

プラントエンジニアとして働くことが向いていないのは、次のような人です。

8-2-1.長時間勤務に抵抗がある人

長時間勤務に抵抗がある人は、プラントエンジニアはおすすめできません。

プラントエンジニアは長時間勤務になることの多い仕事です。残業や出張も多く、定時に帰りたい人、かならず週休2日で働きたい人には向いていません。

8-2-2.コミュニケーションが苦手な人

コミュニケーションが苦手な人には、プラントエンジニアはおすすめしません。

プラントエンジニアは、多くの人と関わって協力体制でひとつの工事を進める仕事です。
交渉や調整のための打合せも多く、人とコミュニケーションをとるのが苦手な人には向きません。

8-2-3.出張が多いのに抵抗がある人

出張が多いことに抵抗を覚える人は、プラントエンジニアは向いていません。

プラントエンジニアは出張が多いです。数ヶ月単位の出張が定期的に発生することも珍しくありません。
その分手当は得られますが、家庭を持っている人、子育て中の人には、長期の不在が負担になる可能性があるでしょう。

8-2-4.独立をめざしている人

独立をめざしたいという人には、プラントエンジニアは向かないかもしれません。

プラントエンジニアは、多くの人と協力して成り立っていく仕事であるため、ITなどに比べると独立しにくい職種​​になります。
技術士として独立するなどの方法はありますが、プラントエンジニアとしての独立は容易ではありません。

 

9.建設業界の「プラントエンジニア」のキャリアパス

建設業界の「プラントエンジニア」のキャリアパス

プラントエンジニアのキャリアパスは、エンジニアの経験を積んで、現場のマネジメント職に就くのが一般的です。

モデルケースを図で示すと以下になります。

キャリアパスのイメージ

一概にはいえませんが、プラント工事は工期が数年にまたがる​​ことが多いため、マネージャーになるまでに、3年〜5年はかかると考えられます。

3年働けば一通り自分で業務を回せることの多い他業種に比べると、比較的勉強期間が長い職種といえるでしょう。

マネジメント職には就かず、プラントエンジニアを極めるスペシャリストになる道もありますが、求められる知識やスキルが高く、体力面でもハードなため、スペシャリストを志向する人は多くありません。

中には知識を活かして発注側に転職したり、より需要が高い分野のプラントに関わる企業に転職するなど、転職でキャリアアップ、キャリアチェンジを叶える人もいます。

CHECK!

【建設業界のプラント|代表的な国内企業】

プラントエンジニアリングの代表的な国内大手企業を挙げておきます。
プラントといえば…とすぐ思い浮かぶように、覚えておきましょう。

 

10.未経験でもめざせる!建設業界のプラントエンジニアは将来性がある仕事

​​未経験でもめざせる!建設業界のプラントエンジニアは将来性がある仕事

建設業界のプラントエンジニアは、専門性が高くハードな面もありますが、魅力的で将来性のある仕事です。

建設業界のプラントエンジニアの将来性

  • 日本の技術は世界で認められ、環境関連プラントは中東や東南アジア​​で成長が続いている!
  • 老朽化した国内インフラの整備や、エネルギーや水処理設備などの需要は増加傾向!
  • 大深度地下空間の開発や海洋開発など​​、将来に渡りプラント企業が活躍できる可能性が高い!
  • プラントエンジニアの高齢化で、若い人材が不足しているため求人が活発化している!

プラントエンジニアは、国内外のプロジェクトで設計や建設に携わり、ものづくりの第一線で活躍できる仕事といえます。

社会貢献を実感し、やりがいを感じたい人は、就職や転職の候補として考えてみてはいかがでしょうか。

上記のように、現在プラント業界では、エンジニアの高齢化が進み人手不足に陥っています。未経験者でも、現場で知識や資格を身につけていく「やる気のある人」を採用している企業が少なくありません。

プラントエンジニアをめざす人にとっては、一歩を踏み出すチャンスといえるでしょう。

また、経験不足が気になる人には「派遣」という手段もあります。

派遣会社から紹介を受けてプロジェクトに加わる働き方で、正社員よりも採用のハードルが低いので、始めやすいでしょう。

派遣で実績を積むことで、他のプロジェクトからの引き抜きを狙う、実績をもとに正社員として就職(転職)をする、といったことが可能になります。

 

11.まとめ

建設業界のプラントは、暮らしや経済活動に欠かせないものを生み出す産業施設の設備や建物の工事をすることで、大きく3つに分類できます。

  • 産業系プラント
  • 化学系プラント
  • 環境系プラント

プラント工事の特徴は、通常の建設現場や土木現場​​に比べて規模が大きく、桁違いに多くの人が関わるという所です。

プラントで働く技術者「プラントエンジニア」には専門的な技術と共に、コミュニケーション能力が求められます。

また、プラントエンジニアは年収が高く、社会貢献のできるスケールの大きな仕事をしたい人に向いています。

現在若い人材が不足していることから、未経験から採用する企業も増加傾向にあり、就職や転職の候補としておすすめです。