【2023年最新】派遣の最低賃金一覧|初心者必見!正しい確認方法

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「派遣社員の最低賃金はどれくらい?」
「派遣社員の最低賃金はどのようにして決まるの?」
このように、派遣の最低賃金について、疑問をお持ちの方は多いでしょう。

派遣社員の最低賃金は、国の最低賃金制度によって決まり、毎年10月に改定されています。
参考までに、2023年3月現在の首都圏における地域別最低賃金は、以下のとおりです。

2023年の首都圏の地域別最低賃金(時間額)
東京都1,072円
神奈川県1,071円
千葉県984円
埼玉県987円
茨城県911円
栃木県913円
群馬県895円
山梨県898円

※参考:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧

最低賃金を把握しておくことで、提示された条件が適切かどうか、などを判断できるようになります。派遣の仕事をするにあたって、不利益を被らないようにするには、必須の知識といえるでしょう。

ただし、自分の住んでいる地域の最低賃金を見ただけでは、うまく使いこなせない場合があることに注意する必要があります。

なぜなら、最低賃金には、

  • 上記の地域別最低賃金に加えて、産業別最低賃金もある
  • 最低賃金は時給で示されるが、派遣の給料は日給や月給で設定されることもある
  • 派遣の場合、派遣先と派遣元の所在地が違う地域の場合がある

など、知識が無ければ判断できないポイントがたくさんあるからです。

そこでこの記事では、派遣の最低賃金について、2023年の最新データ・制度の概要・2種類の最低賃金・最低賃金を上回っているか確認する方法などをご紹介します。

【この記事の内容】

  • 【2023年最新】派遣社員の最低賃金一覧
  • 派遣社員も対象となる最低賃金制度とは
  • 最低賃金には2種類ある
  • 【ケース別】派遣社員の最低賃金の具体例
  • 【時給・日給・月給別】派遣社員の最低賃金を確認する方法

後半では具体例を挙げて確認方法を説明しますので、初心者でも理解しやすく、最低賃金制度をうまく活用できるようになるための手助けになるでしょう。

今回ご紹介する内容を確認することで、最低賃金について基礎知識を身に付け、派遣社員の適正な賃金を見分けられるようになります。

知識が無いばかりに不利益を被ることがないよう、最低賃金の基本を把握しておきましょう。

1. 【2023年最新】派遣社員の最低賃金一覧

ここでは、一般的に該当することの多い、地域別最低賃金の2023年3月現在の金額をご紹介します。
まずは、自分の派遣先の所在する地域の最低賃金はどのくらいなのかを、確認してみましょう。

2023年の首都圏の地域別最低賃金(時間額)
北海道920円
青森853円
岩手854円
宮城883円
秋田853円
山形854円
福嶋858円
茨城911円
栃木913円
群馬895円
埼玉987円
千葉984円
東京1,072円
神奈川1,071円
新潟890円
富山908円
石川891円
福井888円
山梨898円
長野908円
岐阜910円
静岡944円
愛知986円
三重933円
滋賀927円
京都968円
大阪1,023円
兵庫960円
奈良896円
和歌山889円
鳥取854円
島根857円
岡山892円
広島930円
山口888円
徳島855円
香川878円
愛媛853円
高知853円
福岡900円
佐賀853円
長崎853円
熊本853円
大分854円
宮崎853円
鹿児島853円
沖縄853円
全国の加重平均961円

※参考:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧

以上のとおり、最低賃金は、地域によって大きく変わります

例えば、地域別最低賃金がもっとも高い東京都は1,072円、もっとも低い青森・秋田・愛媛・高知・佐賀などは853円と、219円も差がある状況です。

仮に時給900円の場合、東京都では最低賃金を下回る違法な賃金額ですが、青森・秋田・愛媛・高知・佐賀などでは、何の問題もありません。

そのため、該当する最低賃金額を正しく把握しておくことが、適正な待遇の仕事を選ぶ上でとても重要であることを覚えておきましょう。

2. そもそも派遣社員も対象となる最低賃金制度とは?

最低賃金制度は、国が賃金の下限を定める制度で、派遣者を含むすべての労働者(アルバイト・パート・日雇い・契約社員・正社員など)が対象です。最低賃金は、毎年10月に改定されています。

賃金の下限を設定することで、不当に低い報酬で労働者が働かされることを防止し、生活を安定させることを目的とした制度です。

労働者と使用者の両方の合意があっても、最低賃金を下回る賃金を設定することは許されません。必ず守らないといけない基準なので、最低賃金を下回る条件の仕事は、受けないようにしましょう。

なお、仮に最低賃金を下回る賃金が合意の上で定められた場合でも、その賃金額は法的に無効となり、自動的に最低賃金額で定めたものとみなされます。

最低賃金制度の対象になる範囲は、以下のとおりです。

最低賃金制度の対象となる範囲・対象とならない範囲
最低賃金制度の対象となる
  • 基本給
  • 諸手当(ただし、通勤手当・家族手当・精皆勤手当は対象外)
最低賃金制度の対象とならない
  • ボーナス
  • 時間外勤務や休日出勤、深夜労働などに伴う割増賃金など

上記のとおり、最低賃金制度の対象となるのは、基本給・諸手当の2つで、ボーナスなどは対象にならないことを覚えておきましょう。

3. 最低賃金には2種類ある

最低賃金には、以下のとおり、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の2種類があります。

最低賃金には2種類ある
地域別最低賃金
  • 都道府県別に設定された最低賃金
  • 基本的にはこちらを参照する
特定(産業別)最低賃金
  • 特定の産業で働く労働者のみに適用される最低賃金
  • 地域別最低賃金と産業別最低賃金の、どちらにも該当する場合は、高いほうの金額を採用する

適切な賃金額を正確に判断するには、どちらの最低賃金に該当するのかを、きちんと把握することが大切です。

以下では、それぞれの最低賃金について、もう少し詳しく見ていきましょう。

3-1. 地域別最低賃金

地域別最低賃金とは、各都道府県別に1つずつ設定された最低賃金のことです。
勤務形態や業種にかかわらず、基本的にすべての労働者・使用者が対象になります。

そのため、ほとんどの労働者は地域別最低賃金を基準に、待遇が適性であるかどうかを判断することになるでしょう。2023年3月現在の地域別最低賃金については、「1.【2023年最新】派遣社員の最低賃金一覧」でご紹介していますので、ご確認ください。

なお、地域別最低賃金は、毎年10月頃に改定されます。同じ年度中であっても、10月を境に最低賃金が変わることになるので、最新のデータを把握する必要があることに注意しましょう。

基本的には、大半の労働者が地域別最低賃金を参照することになりますが、次項でご紹介する特定(産業別)最低賃金に当てはまる場合は、両者を比較し高いほうを参照する必要があります。次項をあわせてご確認ください。

【地域別最低賃金のポイント】

  • 各都道府県別に設定された最低賃金
  • すべての労働者・使用者が対象
  • 毎年10月頃に改定
  • 特定(産業別)最低賃金に当てはまる場合は、地域別最低賃金と比較し、高いほうを参照する

3-2. 特定(産業別)最低賃金

特定(産業別)最低賃金とは、特定の産業で働く労働者向けに設定された最低賃金のことです。

厚生労働省によると、2021年3月末時点、全国で227件設定され、約292万人の労働者が適用の対象になっています。

地域によって設定されている業種は異なり、埼玉県を例に挙げると、以下のような特定(産業別)最低賃金があります。

埼玉県で設定のある特定(産業別)最低賃金
非鉄金属製造業

1,006円

電子部品・デバイス・電子回路
電気機械器具
情報通信機械器具製造業
1,013円
輸送用機械器具製造業
光学機械器具・レンズ
時計・同部分品製造業
1,022円
各種商品小売業849円
自動車小売業1,018円

※参考:厚生労働省「令和4年度 特定最低賃金の審議・決定状況

前項でもお伝えしたとおり、特定(産業別)最低賃金の設定がある場合は、地域別最低賃金と比較し、高いほうを採用します。

そのため、上記の埼玉県の例でいうと、地域別最低賃金は987円なので、各種商品小売業(849円)については地域別最低賃金を参照することに注意しましょう。

なお、特定(産業別)最低賃金の設定があるかどうかについては、厚生労働省のホームページで確認することができます。

4. 【ケース別】派遣社員の最低賃金の具体例

派遣社員が最低賃金を参照するときは、「どこの地域を参照するか」という点に、注意する必要があります。

派遣社員の場合、派遣元の企業と派遣先の企業の所在地が、異なる場合があるからです。
派遣社員の最低賃金は、派遣先の会社を基準に判断する必要があります。

ここでは3つのケースを取り上げて、どの地域別最低賃金を参照すればよいのか、具体的に説明していきますので、参考にしてみてください。

4-1.【派遣社員の最低賃金ケース1】現在住んでいるA県の派遣元企業に採用され、B県の派遣先企業へ派遣

1つ目のケースとして、派遣元企業と派遣先企業の所在地が違う場合について、見ていきます。

ここでは、東京の派遣元企業に採用され、埼玉県にある企業に派遣されると仮定して、最低賃金を確認してみましょう。

派遣元企業と派遣先企業の所在地が違う場合
ケース
  • 東京都在住で、同じく東京都にある派遣会社に採用され、埼玉県にある企業に派遣されることになった
各エリアの最低賃金
  • 東京都の最低賃金:1,072円
  • 埼玉県の最低賃金:987円
このケースの最低賃金
  • 埼玉県の最低賃金:987円
  • 派遣先の企業のある地域の最低賃金を参照するため

このように、現住所及び派遣元企業が東京都だとしても、派遣先が埼玉県であれば、埼玉県の最低賃金のほうが低くても埼玉県の最低賃金を参照します。

4-2.【派遣社員の最低賃金ケース2】A県に住んでいるがB県の派遣元企業に採用され、C県の派遣先企業へ派遣

2つ目のケースでは、従業員の住んでいる場所と派遣元企業と派遣先企業の所在地が違う場合について、見ていきます。

埼玉県在住の方が、東京都にある派遣会社に採用され、千葉県の企業に派遣される場合について、具体的に見てみましょう。

従業員の住んでいる場所と派遣元企業と派遣先企業の所在地が違う場合
ケース
  • 埼玉県在住で、東京都にある派遣会社に採用され、千葉県にある企業に派遣されることになった
各エリアの最低賃金
  • 東京都の最低賃金:1,072円
  • 埼玉県の最低賃金:987円
  • 千葉県の最低賃金:984円
このケースの最低賃金
  • 千葉県の最低賃金:984円
  • 派遣先の企業のある地域の最低賃金を参照するため

ケース1の場合と同様、住んでいる場所や、就職した派遣会社の所在地にかかわらず、最低賃金は派遣先の企業の所在地で決まります。

4-3.【派遣社員の最低賃金ケース3】現在住んでいるA県の派遣元企業に採用され、特定(産業別)最低賃金があるB県の派遣先企業へ派遣

最後は、派遣元企業と派遣先企業の所在地が違い、特定(産業別)最低賃金の設定があるケースについて、確認しておきましょう。

ここでは、東京都在住で同じく東京都にある派遣会社に採用され、埼玉県にある商品の小売企業に派遣されることになったと仮定して、最低賃金を見ていきます。

派遣元企業と派遣先企業の所在地が違い、特定(産業別)最低賃金の設定がある場合
ケース
  • 東京都在住で、東京都にある派遣会社に採用され、埼玉県にある商品の小売企業に派遣されることになった
各エリアの最低賃金
  • 東京都の最低賃金:1,072円
  • 埼玉県の最低賃金:987円
  • 埼玉県の各種商品小売業の最低賃金:849円
このケースの最低賃金
  • 埼玉県の最低賃金:987円
  • 派遣先の企業がある地域の最低賃金のうち、高いほうを参照するため

前章の「3-2. 特定(産業別)最低賃金」でもお伝えしたとおり、特定(産業別)最低賃金の設定がある場合は、地域別最低賃金と比較し、高いほうを採用します。

この例では、派遣先企業の所在地の地域別最低賃金は987円なので、各種商品小売業(849円)の最低賃金ではなく、地域別最低賃金を参照することに注意しましょう。

5. 【時給・日給・月給の場合】派遣社員の最低賃金を確認する方法

最低賃金は、いずれも時間額で発表されます。

派遣社員の賃金の支給方法が時給の場合は、そのまま比較すればよいのですが、問題なのが、支給方法が日給・月給などの場合です。

このような場合、賃金を時給額に割り戻して比較する必要があります。

派遣社員の最低賃金を確認する方法
支給方法が時給の場合
  • 時給と最低賃金額をそのまま比較
支給方法が日給の場合
  • 1日の所定労働時間数で日給を割ってから、最低賃金額を比較
支給方法が月給の場合
  • 1ヶ月の所定労働時間数で月給を割ってから、最低賃金額を比較

以下では、支給方法が日給・月給それぞれの場合に分けて、計算方法を説明していきます。最低賃金を下回っていないか調べる際の参考にしてみてください。

5-1. 派遣社員の最低賃金を確認する方法1 支給方法が日給の場合

支給方法が日給の場合は、1日の所定労働時間数で日給を割ることで、時間当たりの賃金額がわかります。

どういうことか、計算例を見ておきましょう。

【支給方法が日給の場合の確認方法】

【事例】

  • 1日の所定労働時間数は8時間
  • 日給9,000円
  • 派遣先は東京都の企業(最低賃金額:1,072円)

【確認方法】

(1)日給9,000円を、1日の所定労働時間数である8時間で割る
 →9,000÷8=1,125円
(2)東京都の最低賃金額(1,072円)と比べる
 →支給額の時間額(1,125円)>東京都の最低賃金額(1,072円)なので、適正賃金

5-2. 派遣社員の最低賃金を確認する方法2 支給方法が月給の場合

支給方法が月給の場合は、1ヶ月の所定労働時間数で月給を割ることで、時間当たりの賃金額がわかります。

どういうことか、計算例を見ておきましょう。

【支給方法が月給の場合の確認方法】

【事例】

  • 1ヶ月の所定労働時間数は200時間
  • 月給22万円
  • 派遣先は東京都の企業(最低賃金額:1,072円)

【確認方法】

(1)月給22万円を、1ヶ月の所定労働時間数である200時間で割る
 →220,000÷200=1,100円
(2)東京都の最低賃金額(1,072円)と比べる
 →支給額の時間額(1,100円)>東京都の最低賃金額(1,072円)なので、適正賃金

6. まとめ

最低賃金制度は、国が賃金の下限を定める制度で、派遣者を含むすべての労働者(アルバイト・パート・日雇い・契約社員・正社員など)が対象です。最低賃金は、毎年10月に改定されています。

最低賃金制度の対象になる範囲は、以下のとおりです。

最低賃金制度の対象となる範囲・対象とならない範囲
最低賃金制度の対象となる
  • 基本給
  • 諸手当(ただし、通勤手当・家族手当・精皆勤手当は対象外)
最低賃金制度の対象とならない
  • ボーナス
  • 時間外勤務や休日出勤、深夜労働などに伴う割増賃金など

また、最低賃金には、以下のとおり、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の2種類があります。

最低賃金には2種類ある
地域別最低賃金
  • 都道府県別に設定された最低賃金
  • 基本的にはこちらを参照する
特定(産業別)最低賃金
  • 特定の産業で働く労働者のみに適用される最低賃金
  • 地域別最低賃金と産業別最低賃金の、どちらにも該当する場合は、高いほうの金額を採用する

なお、派遣社員の場合、派遣元の企業と派遣先の企業の所在地が異なる場合がありますが、派遣先の会社を基準に判断する必要があります。

また、派遣社員の賃金の支給方法が時給の場合はそのまま比較すればよいのですが、日給・月給などの場合は、賃金を時給額に割り戻して比較する必要があります。

派遣社員の最低賃金を確認する方法
支給方法が時給の場合
  • 時給と最低賃金額をそのまま比較
支給方法が日給の場合
  • 1日の所定労働時間数で日給を割ってから、最低賃金額を比較
支給方法が月給の場合
  • 1ヶ月の所定労働時間数で月給を割ってから、最低賃金額を比較

最低賃金制度について正しく理解しておくことで、違法な低賃金の仕事を受けて不利益を被るリスクをなくすことができます。

適正な待遇で仕事ができるようにするためにも、今回ご紹介した内容を参考にしてください。