2級土木施工管理技士とは?取得するメリットや難易度をまとめて解説

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2級土木施工管理技士とは?取得するメリットや難易度をまとめて解説

2級土木施工管理技士は、土木工事の工程や施工、安全を管理できる国家資格です。主に道路工事や道路の補修工事、水道工事、橋梁工事などインフラの整備に関する仕事で役立ちます。

2級土木施工管理技士のあらまし

土木工事の施工管理に携わる仕事をする場合は、持っていて損のない重要な資格です。しかし、2級土木施工管理技士を取得するには受験要件を満たす必要があり、誰でも手軽に受験できるわけではありません。

あらかじめどのような資格なのか理解し、受験できる資格はあるのか、どのように受験をするのか確認しておくことが大切です。

そこでこの記事では、2級土木施工管理技士の仕事内容や取得のメリットなど2級土木施工管理技士を目指すうえで知っておきたい情報をまとめて解説していきます。とくに受験要件や具体的な受験内容は詳しくまとめているので必見です。

この記事を読むとわかること

〇2級土木施工管理技士の仕事内容や資格が活かせる業種
〇2級土木施工管理技士の受験要件
〇2級土木施工管理技士の受験日と申請方法
〇2級土木施工管理技士を取得するメリット
〇2級土木施工管理技士の取得が向いている人
〇2級土木施工管理技士の試験内容
〇2級土木施工管理技士の合格率や難易度
〇2級土木施工管理技士の試験勉強をするときのポイント

この記事を最後まで読めば2級土木施工管理技士がどのような資格なのか理解でき、取得を目指せるようになるはずです。

2級土木施工管理技士は年収アップや活躍できる場の拡大が見込める資格なので、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.2級土木施工管理技士とは

2級土木施工管理技士とは

冒頭でも触れたように2級土木施工管理技士は、道路工事や水道工事など幅広い土木工事の工程、施工を管理できる資格です。

建設業法第27条に基づき、国土交通大臣が合格証を発行している国家資格に該当します。

  • 道路工事の工程や品質を管理し工事全体を円滑に進行する
  • 水道工事の現場の工程の進行管理や品質を管理する

など、土木工事全体の進行や管理をする重要なポジションを担います。

次の章で詳しく解説しますが2級土木施工管理技士を取得すると主任技術者として活躍でき、仕事の幅が広がったり給与アップにつながったりするメリットがあります。

 

1-1.2級土木施工管理技士の主な仕事内容

2級土木施工管理技士は主に、土木工事に関する4大管理を行います。具体的にはどのようなことを行うのか、詳しく解説していきます。

1-1-1.土木工事の4大管理を行う

2級土木施工管理技士が行う4大管理とは、簡単に言うと土木工事の全行程を管理することを指します。

4大管理は下記のように「工程管理」「原価管理」「品質管理」「安全管理」の4つに分かれており、全てを適切に管理することで円滑に土木工事を進めます。

4大管理

工程管理

土木工事の工程を管理して工期に間に合うようスケジュールを調整する

例:現場の進捗状況の確認・人員やスケジュールの調整

原価管理

利益を創出するために予算内で土木工事を終えられるように管理する

例:土木工事全体にかかるコストの把握・人件費や材料費を削減する場合は具体的な相談をする

品質管理

一定の基準を満たす品質に仕上がっているか管理、確認をする

例:図面と建造物に相違がないか確認をする・法律に沿った強度や寸法を維持できているか確認をする

安全管理

土木工事現場での安全性の確認や管理を行う

例:定期的な安全チェックの実施・消火設備など安全を維持できる設備の完備

例えば、道路工事を行うとしましょう。2級土木施工管理技士は、全体の工程を管理します。工程に遅れが発生したときにはスケジュールの調整を行い、工期に間に合うように工夫をします。

工期通りに道路工事が進んでも

  • 図面と違う仕様になっている
  • 必要な強度が足りない

など、品質に問題があっては意味がありません。2級土木施工管理技士は品質にも気を配り、各工程で細かく確認をしていきます。

また、道路工事で怪我人やアクシデントが発生しないように、十分な安全を確保することも重要な役割です。現場を巡回して危険な部分を確認するのはもちろんのこと、危険を伴う作業の前には注意喚起を行います。

他にも、道路工事を終えたときに利益を創出できるように、材料費や人件費の管理を行います。余分な支出が発生する場合には、随時会社と相談をしながら進めていきます。このように、土木工事がドラブルなく円滑に進むように4大管理を行うことが2級土木施工管理技士の重要な役割です。

1-1-2.主任技術者として指揮を取る

2級土木施工管理技士を取得すると、「主任技術者」と名乗ることができます主任技術者は、建設工事をするときに建設業法で配置が義務付けられている管理監督者のことです。仕事内容は4大管理や下請への指導なので、2級土木施工管理技士の仕事内容と同様に土木工事全体の管理を行います。

建築業法第26条

建設業者はその請け負った建設工事を施工するときは、当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。

出典:建設業法第26条

例えば、会社が2,000万円の道路工事を行うときには、必ず主任技術者を設置しなければなりません。主任技術者が不在だと工事自体はできないので、2級土木施工管理技士を取得者が在籍していることは会社側にとっても大きなメリットとなります。

そのため、土木の施工管理を行う会社によっては2級土木施工管理技士の取得が必須であったり、2級土木施工管理技士取得者を募集していたりします。このように、2級土木施工管理技士を取得すると責任のあるポジションに立つことができ活躍の場が広がります。

主任技術者の詳しい内容については、下記の記事も参考にしてみてください。
「主任技術者とは?監理技術者のとの違いや必要な要件を詳しく解説」

1-2.2級土木施工管理技士が活躍する仕事

2級土木施工管理技士は、下記の土木工事種目に携わることが許可されています。

  • 土木(一式)工事
  • とび・土工・コンクリート
  • 石工事
  • 鋼構造物工事
  • 舗装工事
  • しゅんせつ工事
  • 水道施設工事
  • 解体工事

※塗装工事は「鋼構造物塗装」のみ・薬液注入は「とび・土工・コンクリート」のみ

参考:建設管理センター「土木施工管理技士」

2級土木施工管理技士は、道路工事や道路の補修工事、水道工事、橋梁工事などインフラの整備に関する幅広い工事に携わることができます。

会社によってはさまざまな土木工事を受けますが、そのような場合でも柔軟に対応できます。例えば、道路工事の次は解体工事、その次は道路の補修工事など種目が変わっても、2級土木施工管理技士を取得していれば問題なく対応できます。

 

2.2級土木施工管理技士の受験要件

2級土木施工管理技士の受験要件

6.2級土木施工管理技士資格の試験内容」で詳しく解説していますが、2級土木施工管理技士の試験は「第一次検定」と「第二次検定」に分かれています。第一次検定と第二次検定では、受験要件が異なります。

検定の種類

第一次検定

第二次検定

受験要件

受験年度の年齢が17歳以上

①と②のいずれかの条件を満たしている

①一定の学歴と実務経験がある

②第一次検定の免除対象者

定められた要件を満たしていないと、受験ができません。それぞれどのような要件を満たす必要があるのか、詳しく解説していきます。

2-1.第一次検定の受験要件

2級土木施工管理技士の第一次検定は、受験年度の年齢が17歳以上であれば誰でも受験できます。2023年度に第一次検定を受験する場合、2007年年4月1日以前の誕生日であれば受験要件を満たせます。

【第一次検定だけ受験するとどうなるの?】

2級土木施工管理技士の第一次検定だけ受験をしても意味がないのでは、と思っている人もいるかと思います。

実は2021年4月より「技士補」という新しい資格が設けられました。技士補は第一次検定に合格すると取得ができます。つまり、一次検定のみを受験し合格すると、2級土木施工管理技士補として活躍できます。

2級土木施工管理技士補は、土木施工管理技士の業務の補佐ができる資格です。例えば、工程管理や品質管理、安全管理の補助をする役割を担います。

第一次検定は受験要件のハードルが低いのでまずは2級土木施工管理技士補となって活躍し、第二次検定の受験要件を満たせるようになってから第二次検定に挑戦することも検討できます。

2-2.第二次検定の受験要件

第二次検定は、次の①か②のいずれかの要件を満たす必要があります。

①一定の学歴と実務経験がある

第二次検定は第一次検定に合格しており、下記の学歴と土木施工に関する実務経験があると受験ができます。

卒業学歴

土木施工に関する実務経験年数

指定学科

指定学科以外

大学
専門学校(高度専門士限定)

1年以上

1年6ヶ月以上

短期大学
高等専門学校
専門学校(専門士限定)

2年以上

3年以上

高等学校
中等教育学校
専門学校(高度専門士・専門士以外)

3年以上

4年6ヶ月以上

上記以外

8年以上

※実務経験の日数は第二次検定の前日までで算出
参考:一般財団法人全国建設研修センター「2級土木施工管理技術検定」

指定学科は、土木工学科や建設工業科 土木建築科などが該当します。 全国各地の学校ごとに細かく定められているので「指定学科について」を参考にしてください。

一例として、大学の土木工学科を卒業している場合は、土木施工に関する実務経験が1年以上あれば第二次検定の受験要件を満たせます。学歴がなくても土木施工に関する実務経験が8年以上あれば問題ありません。

受験要件が指す「土木施工に関する実務経験」とは、土木と鋼構造物塗装、薬液注入の受験種別においての実務経験を指します。例えば、土木種別の場合は、河川工事や道路工事、ダム工事などの経験は実務経験に該当します。

一方で、アルバイトでの作業員経験やる設計者としての基本設計、実施設計のみの業務などは実務経験には該当しないので注意が必要です。

②第一次検定の免除が受けられる

下記に該当する場合は、第一次検定の免除対象者となります。

①2016年度から2020年度2級土木施工管理技術検定の学科試験に合格しており、「一定の学歴と実務経験がある」で示した実務経験を満たしている

②技術士の第二次試験において建設部門・上下水道部門・農業部門(選択科目:農業土木)・森林部門(選択科目:森林土木)・水産部門(選択科目:水産土木)総合技術監理部門(選択科目:建設部門または上下水道部門に係るもの・農業土木・森林土木・水産土木)などに合格しており第二次検定の受検資格を有する
※技術士法施行規則の一部改正前に第二次試験を受けている場合は「2級土木施工管理技術検定」を見て該当するかどうか確認してください

③高等学校または中等教育学校を卒業し、2015年度までの2級技術検定の学科試験に合格した後大学を卒業している。学校在学中に「施工技術検定規則第2条」の学科を履修している。高等学校または中等教育学校を卒業した後8年以内に連続する2回の実地試験(第二次検定)を受検しようしており、土木施工管理に関し1年以上の実務経験を有する

参考:一般財団法人全国建設研修センター「2級土木施工管理技術検定」

この3つのケースのいずれかに該当する場合は、第二次検定の受験要件を満たしていることになります。多いケースとしては2016年度から2020年度2級土木施工管理技術検定の学科試験に合格しており、その後実務経験を積み一定の要件を満たすケースでしょう。

例えば、2017年に2級土木施工管理技術検定の学科試験に合格したもののこの時点では実務経験がなく、その後実務経験を積み改めて第二次検定を受けるケースが該当します。

※ここで紹介している受験要件は2023年3月時点のものです。随時変更される可能性がありますので、最新情報をご確認ください。

 

3.2023年の2級土木施工管理技士の受験日程

2023年の2級土木施工管理技士の受験日程

2級土木施工管理技士の試験は、通例では

  • 第一次検定:前期と後期の年に2回
  • 第二次検定:年に1回(秋頃)

の2回実施されます。2023年の2級土木施工管理技士の受験日程は、下記のとおりです。2023年は6月に第一次検定、10月に第一次検定と第二次検定があります。

検定種目

第一次検定

第一次検定・第二次検定

受験日

2023年6月4日(日)

2022年10月22日(日)

合格発表

2023年7月4日(火)

第一次検定:2023年11月30日(木)
第二次検定:2024年2月7日(水)

対象種別

土木

土木・鋼構造物塗装・薬液注入

参考:一般財団法人全国建設研修センター「2級土木施工管理技術検定第一次検定(前期)受検種別:土木】 受検の手引」

受験方法としては、下記のような方法が検討できます。

  • 6月に第一次検定(土木)を受験して、合否に応じて10月に第二次検定(土木)を受験する
  • 10月にまとめて第一次検定と第二次検定を受験する
  • 第一次検定は合格済みまたは要件を満たしているので第二次検定のみ受験する

6月に第一次検定を受験する場合は、合否に応じて10月の対応を変更できるところがメリットです。第一次検定に合格した場合は第二次検定にチャレンジできますし、不合格の場合は再度第一次検定に挑むことも可能です。

受験を一度で済ませたい場合は、10月に第一次検定と第二次検定をまとめて受験できます。この場合は第二次検定の受験要件を満たしたうえで、一次検定を受ける必要があるので注意してください。

同時受験をしたときに第一次検定が不合格の場合は、第二次検定の受検資格を満たさないと捉えられるので採点をしてもらえません(第二次検定分の受験費用は発生します)。初めて2級土木施工管理技士の試験に挑む場合は、6月の第一次検定を受験して手応えを掴み第二次検定に備えるほうが無難でしょう。

【対象種別とは】

2級土木施工管理技士は「土木・鋼構造物塗装・薬液注入」の3つの種別に分かれています。これは

  • 会社が設業許可を取得するときの種別
  • 携わる業務内容の種別

を指します。例えば、土木で建設業許可を取得したい場合は、土木の2級土木施工管理技士を受験する必要があります。

土木を選択することが一般的ですが、鋼構造物塗装や薬液注入の建設業許可を取得したい場合や鋼構造物塗装や薬液注入の2級土木施工管理技士の取得

3-1.2級土木施工管理技士の受験の申し込み方法

2級土木施工管理技士を受験する場合は、受付期間内に申請書を購入して受験の申し込みをしなければなりません。

検定種目

第一次検定

第一次検定・第二次検定

受験日

2023年6月4日(日)

2022年10月22日(日)

申請書の受付期間

2023年3月1日(水)~3月15日(水)

2023年7月5日(水)~7月19日(水)

受験料

各検定:5,250円(税込)

10月22日の第一次検定を受験したい場合は、7月5日~7月19日の間に申請書を送付する必要があります。申請書は「2級土木施工管理技術検定のご案内」を見ると、取り扱い先一覧が表示されます。

お近くの取り扱い先に電話をして確認してください。再受験者の場合はインターネット申し込みができることがあるので、「2級土木施工管理技術検定のご案内」より確認してみるといいでしょう。

受験要件を満たし問題なく申請が完了すると、受験票が届きます。受験票を持ち、指定の会場で受験を受ける流れとなります。

 

4.2級土木施工管理技士を取得する3つのメリット

2級土木施工管理技士を取得する3つのメリット

土木工事の施工管理ができる2級土木施工管理技士ですが、資格を取得するとどのようなメリットがあるのか気になるところです。ここでは、2級土木施工管理技士を取得するメリットをご紹介します。

2級土木施工管理技士を取得する3つのメリット

2級土木施工管理技士を目指そうか悩んでいる場合はヒントになるかと思うので、ぜひ参考にしてみてください。

4-1.年収アップのチャンスとなる

1つ目は、年収アップのチャンスになることです。具体的には、年収が20万円程度アップする傾向があります。

Twitter

引用:Twitter

1-1.2級土木施工管理技士の主な仕事内容」で触れましたが2級土木施工管理技士を取得すると、建設現場への設置が義務付けられている主任技術者として活躍できます。

会社側にとっても重要で必要性の高い資格なので、年収アップや資格手当てにつながりやすいです。とくに2級土木施工管理技士の在籍が少ない会社にいる場合は、会社側が資格取得の補助をしてくれる場合があります。

また、無資格よりも携われる現場の幅が広がり責任のある仕事を任せてもらえるため、業務内容に応じた給与アップも見込めるでしょう。

  • 今の会社で年収アップを目指したい
  • 土木工事に関する仕事に転職して年収アップを目指したい

という場合には、2級土木施工管理技士を取得するメリットがあります。

【会社側にとっては経営事項審査の追加点にもなる】

経営事項審査とは、建設業者の経営規模や経営の状況、技術力を審査するものです。主に公共工事の競争入札で用いられるため、会社によっては重要な審査となります。

審査にはさまざま加点基準がありますが、技術評価では2級土木施工管理技士は2点、1級土木施工管理技士は5点と評価されます。つまり、2級土木施工管理技士が多く在籍していたほうが技術評価点数が高くなるので、会社にとっては大きなメリットとなるのです。

このような背景もあり、2級土木施工管理技士の手当や給与面での優遇につながっています。

4-2.将来性がある

2つ目は将来性があり、長く活用できる資格であるところです。その理由は、2つあります。

1つ目は、建設業界の人手不足です。国土交通省が公表している「技術者の処遇・意欲と資質の向上」によると、建設業界就業者の高齢化が進んでいます。将来的には深刻な人手不足になることが懸念されている状態です。

2級土木施工管理技士などの技能検定を受験する受験者数も減少している一方で、主任技術者の設置は義務化されています。つまり、2級土木施工管理技士自体の価値が高まり、将来活躍できる場が多いにあると考えられます。

2つ目は、2級土木施工管理技士が携わる土木工事がなくなることは考えにくい点です。道路や水道などのインフラ整備は増減があっても、毎年必ず需要があります。そのため、2級土木施工管理技士が携わる仕事が消滅することはなく長く活用できる資格だと言えるでしょう。

4-3.1級土木施工管理技士を目指しやすい

3つ目は、1級土木施工管理技士が目指しやすくなるところです。2級土木施工管理技士の上には1級土木施工管理技士が用意されています。2級土木施工管理技士に合格していると1級土木施工管理技士の第一次検定の受験要件をクリアできるため、必然的に目指しやすくなります(1級と2級が同じ種別であることが条件)。

条件

2級土木施工管理技士取得済み

2級土木施工管理技士未取得

1級土木施工管理技士
第一次検定の受験要件

第一次検定の受験要件をクリア

一定の実務経験が必要
(学歴に応じて3年~15年)

1級土木施工管理技士は2級土木施工管理技士よりも難易度が高い資格ですが、専任技術者になれるため仕事の幅が広がります。

資格の種類

1級土木施工管理技士

2級土木施工管理技士

取得できる技術者

主任技術者・専任技術者

主任技術者

専任技術者は、請負金額が4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の建設工事に設置が義務付けられています。主任技術者と仕事内容は同じですが大規模な工事の指揮監督を行えるため、主任技術者以上の年収アップや昇進が見込める可能性があります。

土木工事の管理に携わる場合は1級の取得を目指すことが王道なので、次のステップを目指しやすい点はメリットだと言えるでしょう。

【1級土木施工管理技士は2級土木施工管理技士取得が義務ではない】

1級土木施工管理技士を取得するには、2級土木施工管理技士を取得しなければならない義務はありません。

例えば、土木工学科や建設工業科など専門性の高い大学で基礎知識を学んでおり、実務経験を3年以上積んでいる場合は1級土木施工管理技士からの挑戦が検討できます。

ただし、先ほども触れたように1級土木施工管理技士は2級土木施工管理技士よりも難易度が高いことを念頭に置いて検討してください。

 

5.2級土木施工管理技士の取得が向いている人

2級土木施工管理技士の取得が向いている人

将来性があり活躍の場が多い2級土木施工管理技士ですが、具体的にはどのような人が取得するべきなのでしょうか?ここでは、2級土木施工管理技士の取得が向いている人を紹介します。

2級土木施工管理技士の取得が向いている人

自分の現状と照らし合わせて、2級土木施工管理技士の取得が向いているのかチェックしてみてください。

5-1.責任のあるポジションに就きたい人

1-1.2級土木施工管理技士の主な仕事内容」でも触れたように、2級土木施工管理技士は土木工事全体の管理を行います。各関係性とのコミュニケーション力や現場をまとめるリーダーシップ力が求められる立場です。

場合によっては主任技術者としても活躍できるため、より責任のあるポジションで現場の管理を行うこともあります。大変な部分もあるかもしれませんが土木工事のスタートから完成までを見届けられるので、やりがいや達成感を得られるでしょう。

  • 土木現場を管理する責任感のあるポジションに就きたい
  • 主任技術者としてリーダーシップを発揮したい

という場合には、2級土木施工管理技士の取得が向いているでしょう。

5-2.スキルアップや転職を目指す人

現在土木工事関連の仕事に従事しており、これからスキルアップや転職を目指したい人にも2級土木施工管理技士は向いています。

2級土木施工管理技士を取得すると、携わることができる業務の幅が広がります。例えば、4大管理においては一定の知識があるとみなされるため、主任技術者が担当できる規模の現場を任せてもらえるようになります。

また、土木工事関連の業種への転職を検討している場合は、2級土木施工管理技士を取得していることで選択できる会社が増えるでしょう。実際に2級土木施工管理技士が必須となっている求人や2級土木施工管理技士があることで給与や待遇を優遇している求人も見受けられます。

Twitter

引用:Twitter

  • 今の会社でスキルアップをして年収を上げていきたい
  • 転職をして年収アップをしたい

という場合にも、2級土木施工管理技士の取得を検討してみてください。

5-3.専任技術者として活躍したい人

2級土木施工管理技士は、一般建設業の営業所に配置される専任技術者として活躍できる資格です。

専任技術者は契約の締結関連の手続きや見積書の作成など、建設工事の請負契約を結び円滑な進行をサポートする役割を担います。基本的には現場に出ることはなく、営業所に常駐をして業務を行います。

建設業の許可を受けて営業所を営むには専任技術者の設置が義務付けられているため、専任技術者がいないと営業所を立ち上げることができません。そのため、営業所を営む会社側にとっても、重宝される資格の一つです。

現場に出ることなく土木工事をサポートする業務をしたいと考えている場合にも、.2級土木施工管理技士の取得は向いているでしょう。

6.2級土木施工管理技士の試験内容

2級土木施工管理技士の試験内容

2級土木施工管理技士の試験は、下記のように第一次検定と第二次検定に分かれています。

2級土木施工管理技士の試験

第一次検定と第二次検定は試験内容が異なるため、あらかじめ把握して試験勉強に取り組むことが大切です。ここでは2級土木施工管理技士の試験内容を解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

6-1.第一次検定は択一式

第一次検定は、2級土木施工管理技士としての基礎的な知識があるのか確認をする検定です。回答はマークシート式(択一式)で行います。合格基準は、60%以上の得点獲得です(状況によって変更の可能性があります)。

土木種別では、施工や管理に必要な基礎知識や関連法令の確認などが出題されます。

検定科目

検定基準内容

土木工学等

  • 土木一式工事の的確な施工管理に必要な土木工学、電気工学、電気通信工学、機械工学、建築学に関する基礎知識を確認する
  • 土木一式工事の的確な施工管理に必要な設計図書を読み取る知識を確認する

施工管理法

  • 土木一式工事の的確な施工管理に必要な施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理などの基礎的な知識を確認する
  • 土木一式工事の的確な施工管理に必要な基礎的な能力を確認する

法規

建設工事の施工管理を適確に行うために必要な法令に関する知識を確認する

参考:一般財団法人全国建設研修センター「2級土木施工管理技術検定第一次検定(前期)受検種別:土木】 受検の手引」

過去問の一例としては、下記のような問題が出題されます。

Q.土留め工に関する次の記述のうち適当でないものはどれか?

①アンカー式土留め工法は、引張材を用いる工法である
②切梁式土留め工法には、中間杭や火打梁を用いるものがある
③ボイリングとは、砂質地盤で地下水位以下を掘削した時に、砂が吹き上がる現象である
④パイピングとは、砂質土の弱いところを通ってヒービングがパイプ状に生じる現象である

出典:令和4年度2級土木施工管理技術検定第一次検定(後期)試験問題(種別:土木)

基本的には基礎知識の確認をする内容ではありますがややこしい問題も多いため、出題範囲をまんべんなく勉強する必要があります。

6-2.第二次検定は記述式

第二次検定は、土木工事での管理や指導監督に関する知識や能力を確認する記述式の検定です。

第一次検定は基礎知識の確認でしたが、第二次検定では主任技術者として指揮監督をするスキルがあるのか確認します。合格基準は、60%以上の得点獲得です(状況によって変更の可能性があります)。

一例として土木種別での第二次検定では、主任技術者としての判断力や知識を確認する記述が出題されます。

検定科目

検定基準内容

施工管理法

  • 主任技術者として土木一式工事の施工管理を適確に行う知識を確認する
  • 主任技術者として土質試験、土木材料の強度などの試験を正確実施し、かつ試験結果に基づいて必要な措置を行う応用力を確認する
  • 主任技術者として設計図書に基づき施工計画を適切に作成する。または施工計画を実施する応用力を確認する

参考:一般財団法人全国建設研修センター「令和4年度2級土木施工管理技術検定 第一次検定・第二次検定 (受検種別:土木・鋼構造物塗装・薬液注入) 受検の手引」

記述問題の中には、経験記述問題が含まれています。工程管理や品質管理、安全管理などのテーマに沿って施工経験をまとめます。例えば

  • 工事場所
  • 工期
  • 主な工程
  • 工事での自分の立場

など、携わった工事について詳しく記述していきます。

Twitter

引用:Twitter

Twitter

引用:Twitter

経験談は短時間で思い出し詳しく書くことが難しいため、あらかじめ試験勉強である程度固めておくといいでしょう。

 

7.2級土木施工管理技士の難易度は?第二次検定の難易度が高め

2級土木施工管理技士の難易度は?第二次検定の難易度が高め

2級土木施工管理技士の合格率は第一次検定が50~70%ほど、第二次検定が35~40%ほどです。第二次検定のほうが難易度が高いことが分かります。

2019年度
前期

2019年度
後期

2020年度
後期

2021年度
前期

2021年度
後期

2022年度
前期

2022年度
後期

第一次検定

61.9%

56.6%

67.0%

70.3%

70.9%

63.4%

62.1%

第二次検定

39.7%

42.2%

35.7%

37.7%

出典:日本建設情報センター「合格率(全国平均)」

6.2級土木施工管理技士の試験内容」でも触れたように、第二次検定は記述式です。過去問を見ると

  • 実際の経験を詳しく記述する
  • 具体的な安全対策を記述する
  • 適正な管理方法を記述する

など、実務経験をもとにした具体的な記述が求められます。そのため、第一次検定よりも深い知識が必要となるので、難易度が高くなる傾向があります。

 

8.2級土木施工管理技士の勉強をするときの3つのポイント

2級土木施工管理技士の勉強をするときの3つのポイント

2級土木施工管理技士は専門性が求められることと出題範囲が広いことから、一夜漬けでの合格は難しいと言われています。

では、どのようなポイントを押さえて勉強をすればいいのでしょうか?ここでは、2級土木施工管理技士を受験するときに知っておきたいポイントをご紹介します。

2級土木施工管理技士の勉強のポイント

計画的に勉強を進めるためにも、参考にしてみてください。

8-1.テキストをもとに基礎を学ぶ

2級土木施工管理技士を勉強するときには、まずはテキストを読むところから始めるといいでしょう。テキストを読むと出題される範囲の全体像が把握でき

  • どのような内容が出題されるのか
  • 得意な分野と苦手な分野

が理解できます。そのうえで、苦手な部分を何度も読み返します。例えば、法規が苦手であれば、繰り返し読み返してどのような法律があるのか理解をすることが大切です。

また、テキストは毎日1時間・毎朝30分など時間を決めて、コツコツと取り組むことがポイントです。テキスト自体の内容も濃いため、短期間では理解できるところまでたどり着かない可能性があります。毎朝少しずつ取り組むことで、無理なく理解を深められるといいでしょう。

テキストは日本建設情報センターなどで販売しているため、購入を検討してみてください。

8-2.講習会に参加する

テキストで学んだ知識をしっかりと自分のものにしたい場合は講習会への参加がおすすめです。講習会なら短期間で多くの知識を身につけられるのはもちろんのこと、場合によっては過去の第一次検定や第二次検定の傾向を踏まえた対策ができます。その場で質問もできるため、不明な点や難しい点があっても問題を解消してから受験ができます。

例えば、日本建設情報センターが開催している「一次・二次3日間コース(通学)」では、3日間で第一次検定と第二次検定の内容を学びます。問題演習や二次検定の対策も含まれているため、効率よく必要な情報を身につけられるでしょう。

ただし、先ほども触れたように2級土木施工管理技士は一夜漬けで受験できる内容ではありません。講習会のみに参加すれば準備が整うものではないため、自主勉強や通信講座などでの学びにプラスアルファをして活用することが大切です。

8-3.過去問を解いて傾向を掴む

過去の2級土木施工管理技士の試験問題を参考にしながら、過去問を解くことも大切なポイントです。2022年度の第一次検定(後期)は、過去問題からの出題が多い傾向がありました。もちろん、過去問以外の問題も出題されていますが、過去問を解くことで回答できる問題が増える可能性があります。

また、問題の傾向も把握できるため、複数の過去問を解いて2級土木施工管理技士の出題形式に慣れておくことも大切です。とくに第二次検定は記述式となっているため、テキストを読むだけでは実践で使える知識を養えません。実際の問題に触れて、どのような記述をするべきか学ぶようにしましょう。

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直近の過去問は日本建設情報センターの「2級土木施工・検定問題と総評」よりダウンロードできます。この他にも、過去問に特化した問題集やWebサイトなどもあるため、有効活用しながら試験勉強を進めるといいでしょう。

 

9.まとめ

いかがでしたか?2級土木施工管理技士とはどのような資格なのか理解でき、取得を目指せるようになったかと思います。最後に、この記事の内容をまとめてみましょう。

  • 2級土木施工管理技士は、道路工事や水道工事など幅広い土木工事の工程、施工を管理できる国家資格
  • 2級土木施工管理技士の主な仕事内容は「四大管理」と「主任技術者としての現場管理」
  • 2級土木施工管理技士を取得するメリット

〇2級土木施工管理技士を取得するメリットは次の3つ

①年収アップのチャンスとなる
②需要が落ちない資格なので将来性があり長く活用できる
③2級土木施工管理技士を目指しやすくなる

  • 2級土木施工管理技士の試験は第一次検定(択一式問題)と第二次検定(記述式問題)に分かれている
  • 第一次検定と第二次検定は受験要件が異なるため注意が必要
  • 2級土木施工管理技士の合格率は第一次検定が50~70%ほど、第二次検定が35~40%ほどで第二次検定のほうが難易度が高い

2級土木施工管理技士は土木工事の施工管理に携わるなら、持っていても損はない資格です。この記事をもとに2級土木施工管理技士の取得を目指せるようになることを願っています。