【過酷】忙しい建築業界の実態を時期・部門・激務レベル別に大解剖!

FC編集部

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過酷】忙しい建築業界の実態を時期・部門・激務レベル別に大解剖!

「建築業界は忙しいって聞くけど本当?」
「建築業界はいつも忙しいの?暇な時期はないってこと?」

建築業界に興味があっても、休みがない、残業が多い、といった話を聞くと不安になってしまいますよね。

建築業界が基本的に忙しいのは、事実です。

実際に、2016年度の建築業界を含めた建設業の年間労働時間は2,056時間と飛び抜けて長く、製造業と比べて105時間、産業全体の平均と比較すると、その差は336時間にも及びます。

【労働時間】(2016年)

区分

年間総実労働時間

年間出勤日数

全産業

1,720時間

222日

建設業

2,056時間

251日

製造業

1,951時間

234日

参考:国土交通省|建設業における働き方改革

ただ、年間を通して同じように忙しいわけではなく、繁忙期は9月と、12月〜3月です。

1年間を通してみた建築業界の忙しさは、下記のようになります。

1年間を通してみた建築業界の忙しさ
全体をみればこのようになりますが、実は建築業界は下記のような部門に分かれており、それぞれ忙しさの度合いが違います。

  • 現場監督も含めた「施工監理部門」
  • 建築士などの「設計部門」
  • 職人や技術開発などの「技術部門」
  • 自社の技術を売り込む「営業部門

本記事では、建築業界全体の忙しさを踏まえた上で、部門別にみた忙しさの度合いを具体的に解説していきます。

この記事を読めばわかること

  • 建築業界の繁忙期と閑散期がわかる
  • 建築業界の忙しさの実態が具体的に理解できる
  • 部門ごとの建築業界の忙しさが細かく把握できる
  • 忙しさを解消するためにどんな取り組みがあるかを把握できる

この記事を読めば、建築業界の忙しさについて、「なぜ忙しい?」「いつ忙しい?」「どれくらい忙しい?」の全てが把握できます。

業界に興味があるが忙しいと聞いてためらっている人、また、建築業の彼氏や彼女が忙しいのは本当だろうか?と不安に思っている人も、疑問が解消されます。

ぜひ最後まで読み進めて頂けたらと思います。

 

1. 【データで見る】建築業界の忙しい現実を暴露

【データで見る】建築業界の忙しい現実を暴露

建築業界は本当に忙しいのかどうか?を見極めるために、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」​​日建協の時短アンケートなどを元に作成したデータで、みていきましょう。

年間の労働時間や、休日の状況から、建築業界が他の業界に比べて格段に忙しいことがわかります。

この章では、建築業界の下記の2つの忙しさを、データで分析していきます。

  • 労働時間
  • 休日 

 CHECK! 

今回ご紹介するデータは、建築業界のみで算出されたものがなかったため、一部建築業界を含めた「建設業」として、紹介しているものもあります。

あらかじめ、ご了承ください。

1-1.労働時間

国土交通省の資料より、「実労働時間及び出勤日数の推移(建設業と他産業の比較)」​​をみてみましょう。

実労働時間及び出勤日数の推移

出典:国土交通省|建設業における働き方改革

全体を通して年々減少傾向にあるとはいえ、2016年度の建設業の年間労働時間は2,056時間と飛び抜けて長く、製造業と比べて105時間、産業全体の平均と比較すると、その差は336時間にも及びます

【労働時間】(2016年)

区分

年間総実労働時間

年間出勤日数

全産業

1,720時間

222日

建設業

2,056時間

251日

製造業

1,951時間

234日

参考:国土交通省|建設業における働き方改革

年間出勤日数が多いことも建設業の大きな特徴となっており、グラフを見ると平均より高い数値で推移していることがわかります。

1-2.休日

下記は、建設業における休日の状況を示したものです。

建設業における休日の状況

出典:国土交通省|建設業における働き方改革

建設業全体でみて、4週当たりの休暇日数が4.60日、建築工事だけでは4.35日と、ほとんどの人が週に1日程度しか休んでいません。

別のデータで、週休2日制の導入状況をみてみましょう。

【完全週休2日制の導入状況】(2016年)

区分

年間総実労働時間

全産業

49.0%

建設業(企業規模30人以上)

27.4%

建設業(企業規模6人以上)             

8.9%

製造業

49.3%

参考:厚生労働省「完全週休2日制の普及状況(平成28年)」を元に作成

製造業を含めた全産業での導入が50%近いのに対し、建設業の小規模な会社での週休二日制の導入は、1割を切っているという結果でした。

他産業と比較したこうしたデータを見ただけで、建築業界がかなり忙しいことが分かります。

ただ、忙しさは時期によって違いがあるので、この後、繁忙期と閑散期について説明していきます。

 

2. 建築業界で忙しい時期は「9月」と「12月~3月」

建築業界で忙しい時期は「9月」と「12月~3月」

1. 【データで見る】建築業界の忙しい現実を完全公開」でお伝えしたとおり、建築業界は基本的に忙しいことで知られています。

ただ、年間を通して同じように忙しいわけではなく、繁忙期は9月と12月〜3月です。

2章では、「いつ忙しいのか?」「暇な時期はないのか?」という疑問にお答えしていきます。

  • 建築業界の繁忙期は9月と12月〜3月
  • 建築業界の閑散期は4月〜6月

順にみていきましょう。

2-1.建築業界の繁忙期は9月と12月〜3月

建築業界の繁忙期は、9月、そして12月〜3月頃です。

これには、決算期と新年度が関係しています。

多くの企業では決算期を9月末や3月末に定めているため、決算前に工事依頼が増えます。決算前に工事を終わらせる必要が生じて建築業界は忙しくなります。

また、4月からの新年度に合わせて、新しく建物を使用したいという依頼も少なくありません。4月に入学式のある学校等のほか、公共建築物の工事や設計は3月末で完了さえなければいけない案件が多いです。

4月の新年度に間に合わせるために、建築業界は12月頃から3月末にかけて忙しくなります。

2-2.建築業界の閑散期は4月〜6月

忙しい建築業界にも、それほど忙しくない時期もあります。

建築業界の閑散期は、4月〜6月です。

先述のように、4月からの新年度に間に合わせるようにスケジュールを組んでいるため、3月末で工事を終えたあとの4月から6月は比較的落ち着いている時期といえます。

この時期は、国や企業の予算編成がまだ決定していないからです。

予算編成が定まるのは大体6月後半なので、その時期から発注を受ける建築業界も少しずつ忙しくなります。

 

3.【部門別一覧】建築業界の忙しさは職種によって異なる!

【部門別一覧】建築業界の忙しさは職種によって異なる!

建築業界の忙しさについて解説しましたが、実は1章と2章でお伝えしたのは、業界すべてに共通する忙しさです。

実態をみると、建築業界は下記のような部門に分かれており、それぞれ忙しさの度合いが違います。

  • 場監督も含めた「施工監理部門」
  • 建築士などの「設計部門」
  • 職人や技術開発などの「技術部門」
  • 自社の技術を売り込む「営業部門」

部門別に、繁忙期の忙しさの度合いを一覧表にまとめましたので、ご覧ください。

【部門「職種」】

【部門「職種」】

激務レベル

労働時間(例)

休日

施工監理部門

★★★★★

朝8時〜23時
ほぼ毎日残業

土日は休めないことが多い
連続した休みは取れない

設計部門

★★★★

朝9時〜18時
残業は週に2〜3回

週1の休日が多い
連続した休みは取りにくい

技術部門「職人」

★★★★★

朝9時〜20時
残業は週に4日以上

週に1日休めれば良い方
連続した休みは取れない

技術部門「技術開発」

★★★

朝9時〜19時
残業は週に2〜3回

基本的に土日は休み
連続した休みを取ることも可能

営業部門

★★★★

朝9時〜18時
残業は週に2〜3回

土日とも休めないことがある
連続した休みは取りにくい

※★は多いほど忙しいイメージで、5つが最高値です。
※一般的な例であり、会社の方針や請け負う工事の内容、取引先によって差異があります。

建築業界にも事務職はありますが、忙しさにおいて他の企業の事務職とあまり変わりありません。

次章からは、上記の部門それぞれについて、忙しさを深掘りしていきます。興味のあるところからみていってくださいね。

 

4.建築業界の「施工管理部門」の忙しさ

建築業界の「施工管理部門」の忙しさ

【部門「職種」】

度合い

労働時間(例)

休日

施工監理部門

★★★★★

朝8時〜23時
ほぼ毎日残業

土日は休めないことが多い
連続した休みは取れない

施工管理とは、工事の現場で働く人たちを指揮監督し、工事全体を管理する仕事です。

建築物の設計から竣工後のメンテナンスまで、施工全体の管理をする仕事なので、忙しい建築業界の中でも特に忙しい仕事といえます。

施工管理部門の主な仕事は、次のようなものです。

  • 工事スケジュールの管理
  • 工事予算の管理
  • 役所等への申請手続き
  • 設計者や業者との打ち合わせ
  • 工事でトラブルが発生しないよう全体を監理して進捗させる
  • 竣工後のメンテナンス

 CHECK! 

【施工管理と現場監督】

この章でいう施工管理には、現場監督の仕事も含まれています。

建築業界の区分では、施工管理は現場の責任者、現場監督は作業員の司令塔、という風に別部門として分ける考え方もあります。

施工管理には、現場監督の仕事も含まれています。

企業によっては、施工管理を現場監督と呼ぶケースもあります。ですが、正確には上記のような違いがあることを押さえましょう。

ただ、実際の仕事に大きな違いはありません。現場監督も、施工管理と同様に現場の管理を行いますし、忙しさも大きく変わりません。

4-1.施工監理部門が忙しい理由

施工管理が忙しい理由は主に下記の2つです。

  • 工事はスムーズに進行しないことの方が多い
  • 工期内に仕事を終わらせる責任がある

順に説明します。

4-1-1.工事はスムーズに進行しないことの方が多い

工事は予定通りスムーズに進行するとは限りません。むしろ、そうでないことの方が多いです。

工事現場では大小さまざまなトラブルが起こります。

  • 資材の未着や不足
  • 人員不足
  • 設計ミス
  • 近隣からの苦情

どんなトラブルが、いつ発生するかは予期しにくく、解決には管理者の時間が取られます。

トラブルの内容にもよりますが、計画の立て直しを強いられることもあります。

こうしたトラブルへの対応から、施工管理は工事期間中、残業や休日出勤があたりまえになります。

4-1-2.工期内に仕事を終わらせる責任がある

工期内に工事を終わらせる責任があるため、施工管理は激務になります。

施工管理の仕事で重要な点は、工期内に仕事を終わらせることです。予定の期日に無事工事を完了できるかどうかで、施工管理の手腕が問われるといっても過言ではありません。

なぜかというと、工期の延長にはコストが掛かり、会社やクライアントができる限り避けたい事案だからです。

ところが先述のように、現場はトラブルが発生しやすく、多くの場合、工期は遅れがちになります。

現場監督などの施工管理者は、何とか仕事を工期内に完了させようと、残業や休日出勤をして遅れを取り戻そうとするため、1ヶ月以上休んでないといった話は珍しくないようです。

4-2.施工監理部門の忙しさの度合い

繁忙期(9月/12月〜3月)における施工管理部門の忙しさの度合いは、次のようなイメージです。

一般的な例であり、会社が請け負う工事の内容や取引先によって違いはあります。

労働時間

朝8時〜23時(例)

  • 朝礼があるため朝が早い
  • ほぼ毎日残業がある

休日

  • 土日も休めないことが多い
  • 連続した休みはとれない

4-2-1. 労働時間

工事では大体8時に朝礼があるため、朝が早いです。

工事中は現場が終わってから、会社に帰って書類をまとめるなどの仕事もあるため、帰宅時間も遅くなります。

残業時間はまちまちですが、終電に間に合わない時刻まで、日付が変わるまでということも少なくないようです。

4-2-2. 休日

繁忙期は、土日のどちらか、もしくは両方休めないのは当たり前で、2日以上の連続した休みを取ることは難しくなります。

1ヶ月程度休みなしで働くといったケースも、珍しくありません。

 

5.建築業界の「設計部門」の忙しさ

建築業界の「設計部門」の忙しさ

【部門「職種」】

度合い

労働時間(例)

休日

設計部門

★★★★

朝9時〜18時

残業は週に2〜3回

週1の休日が多い

連続した休みは取りにくい

建築士や設計士が所属する設計部門は、クライアントのニーズをもとに、建物や設備の図面を作成する部門です。

具体的には、建築物、住宅などのプランの作成、外観や内観のデザイン、建設現場の施工に必要な図面作成を行います。

普段は一般的な会社員と同様の勤務時間であることが多いですが、繁忙期には、膨大な打ち合わせが必要になり、そのたびにアイデアや図面の作成、修正を求められて、忙しくなります。

デザインだけでなく、利便性や機能性、コストなどを考慮するのも設計部門の仕事に含まれます。

5-1.設計部門が忙しい理由

設計部門が忙しい大きな理由は打ち合わせの多さです。

先述のように、繁忙期には図面作成の時間が取れないほど、さまざまな打ち合わせが入るのです。

すべての図面作成の過程において、クライアントやメーカー、現場担当者との打ち合わせが必要で、それがときには何十回、何時間にも及びます。

設計は、外観デザインの意匠設計、土台や骨組みを担当する構造設計、インフラを設置する設備設計と3業種に分かれていて、その業種間での打ち合わせも繰り返し行います。

打ち合わせは一般的な営業時間に行うため、その後に行う図面作成は営業時間外の残業や休日に持ちこされることも少なくありません。

5-2.設計部門の忙しさの度合い

繁忙期(9月/12月〜3月)における設計部門の忙しさの度合いは、一般的には次のようなイメージです。

労働時間

朝9時〜18時

  • 残業は週に2〜3回

休日

  • 週に1回くらい
  • 連続した休みはとれない

5-2-1.労働時間

基本的には、クライアントも工事現場も営業している、朝9時〜18時が多いです。

打ち合わせ後に図面の作成を行うため、週に2〜3回程度残業することがあります。

​​自宅に持ち帰り、徹夜して仕上げるようなケースもあるようです。

5-2-2.休日

繁忙期には仕事が終わらないため、休日を2日から1日に減らしたり、休みをとらない人も多くいます。

ただ、設計部門の図面作成は1人でできるため、フレックスタイムを利用して、業務時間を調節している人も少なくありません。

その場合は、午後から出勤したり、土日以外の日に休日をとったりして体を休めることができます。

 

6.建築業界の「技術部門」の忙しさ

建築業界の「技術部門」の忙しさ

【部門「職種」】

度合い

労働時間(例)

休日

技術部門「職人」

★★★★★

朝9時〜20時
残業は週に4日以上

週に1日休めれば良い方
連続した休みは取れない

技術部門「技術開発」

★★★

朝9時〜19時
残業は週に2〜3回

基本的に土日は休み
連続した休みを取ることも可能

技術部門は、2つに分かれています。

  • 職人
  • 技術開発

それぞれの忙しさを、みていきましょう。

6-1.職人の忙しさの度合い

建築の工事現場で実際の作業を担当するのが職人です。

職人の仕事は、主に次のような職種に分かれています。

  • 土工事職人

ブルドーザーなどの重機を扱う​​

  • とび職人

高所作業を行う

  • 鉄筋工

施工図をもとに鉄筋を配置・固定する​​

  • 大工

建物の骨組みや下地を作る​​

  • 左官工

建物の壁や床、塀などにモルタルや漆喰などを塗る​​

  • 電気工事士

建物内外の電気設備を設計・施工する​​

繁忙期は、施工管理と同様に、工期を遅らせないために残業や休日返上の働き方が求められるため忙しくなります。

労働時間

朝9時〜20時(例)

  • 残業は週に4日以上

休日

  • 週に1日休めない場合もある
  • 連続した休みは取れない

6-1-1.労働時間

現場は朝礼があるので、朝は8時から始まります。

通常工事は18時ごろまでですが、繁忙期は残業が増えて20時〜21時、ときには夜を徹して行われることもあります。

6-1-2.休日

土日のどちらか1日、もしくは両方休めないこともあります。

稼ぎ時でもあり、2日以上の連続した休みを取ることは難しいでしょう。

6-2.技術開発の忙しさの度合い

技術開発部門では、建設の現場において有効な技術や機材の提案、新技術の開発を行います。

ITやAI技術の導入が進む現在、多くの技術者が取り組んでいるのが次のような分野です。

  • BIMやCIM
  • AIロボット(ドローン、作業・運搬ロボット等)
  • タブレット端末
  • 現場監視カメラ
  • 施工管理システム

技術開発分野は直接工事に関わるわけではないので、繁忙期が特に忙しいというわけではありません。

ただ、一部の建設技術研究所では、残業時間が月平均50〜60時間と報告されているなど、1年を通して忙しい仕事であるとはいえそうです。

労働時間

朝9時〜19時

  • 残業は週に2〜3回

休日

  • 基本的に土日は休み
  • 連続した休みをとることも可能

6-2-1.労働時間

基本的に一般企業と同じ勤務時間が設定されていますが、残業は多い傾向です。

月平均50〜60時間の残業が報告されている会社もあります。

6-2-2.休日

担当する仕事の進捗状況によりますが、基本的には週休二日制が導入されています。

まとまった休みをとることも、タイミングによっては可能でしょう。

 

7.建築業界の「営業部門」の忙しさ

建築業界の「営業部門」の忙しさ

【部門「職種」】

度合い

労働時間(例)

休日

営業部門

★★★★

朝9時〜18時
残業は週に2〜3回

土日とも休めないことがある
連続した休みは取りにくい

建築業界の営業の仕事は、自社の技術を売り込んで建設工事の仕事をとってくることです。

ノルマがあったり、付き合いに追われて土日を返上したりと、施工管理や現場の職人以上に忙しい仕事です。

どんなに優れた工事技術を持っていても、仕事の依頼がなければ会社の経営は成り立ちません。

自社の技術や強みをアピールし、受注につなげる使命を担った営業は、各部門と連携し、クライアントと各部門を結ぶ役割も果たしています。

7-1.建築業界の営業が忙しい理由

営業が忙しい理由は、主に下記の2つです。

  • ノルマが課されることが多い
  • 仕事の規模が大きい

順に説明します。

7-1-1.ノルマが課されることが多い

営業職にはノルマがつきものですが、建築業界においても同様です。

そして、一般的に建築業界では他に比べてノルマが高く設定されていることが多くなります。

高い目標数値の達成のために、残業をしたり、時には休日に取引先のイベントなどに顔を出したりして、忙しく営業活動をしなくてはなりません。

7-1-2.仕事の規模が大きい

1つの仕事の規模が大きいことも、営業が忙しくなる要因です。

金額が大きいため、受注するまでの道のりが長くなります。

建築業界が請け負う工事などのプロジェクトは他の業界に比べると、規模の大きい場合がほとんどです。

ひとつ成功すれば会社への貢献度が評価される可能性は高いですが、受注までの仕事は楽ではありません。

さらに、受注できても、関わる人の多い業界のため無事に工事が完遂するまで、営業も一端の責任を負い続けなくてはなりません。

万一、工期が伸びた場合には顧客への説明に追われることもあるでしょう。早朝や深夜、休日であろうとクレームに対応することも、営業であれば避けられません。

7-2.建築業界の営業の忙しさの度合い

建築業界の営業の忙しさの度合いは、次のようなイメージです。

一般的な例であり、会社の方針や、取引先によって違いはあります。

労働時間

朝9時〜18時

  • 残業が週2〜3日以上の可能性がある

休日

  • 土日休めないことがある
  • 連続した休みは取りにくい

7-2-1.労働時間

勤務時間はほとんどの場合、通常の会社員と同様の時間帯になります。

ただ、残業や、営業時間外に取引先との付き合いなどが多くあるため、定時で帰宅できることは少ないでしょう。

7-2-2.休日

基本的には週休二日制が導入されていますが、休日出勤や、取引先のイベントに駆り出されたりすることは珍しくありません。

ノルマ達成のため、休日返上で働く営業スタッフは数多く存在します。

 

8.建築業界でも忙しさを緩和する働き方改革が進んでいる!

建築業界でも忙しさを緩和する働き方改革が進んでいる!

ここまで読んだ方は、建築業界について「こんなに忙しいのか…」と思ってしまわれたかもしれません。

現状を見れば仕方ないことですが、ではこの先も激務が続くのか…?というと、少しずつ変わりはじめていることも事実です。

建築業界の人材不足を懸念した国や企業が、さまざまな改善の取り組みを行っているからです。

この章では、建築業界に広がりつつある働き方改革について解説します。

  • 時間外労働の上限規制の適用
  • テレワークの導入
  • ICT化の導入

建築業界は、部門に関わらず、他業種に比べて高い収入が期待できます。

働き方が改善されれば、あなたにとって将来性のある就職先、転職先の候補として検討する余地があるのではないでしょうか。

改善に向けた取り組みをみていきましょう。

8-1.時間外労働の上限規制の適用

2024年4月1日より、罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されます。

これにより、「1. 【データで見る】建築業界の忙しい現実を完全公開」で示したような、長い労働時間や出勤日数の多さよる負担が、軽減することが期待できます。

上限規制の時間は月45時間、年360時間です。

臨時的な特別な事情がある場合でも、単月で100時間未満、複数月平均80時間以内、年720時間以内に収める必要があります。

ただし、復旧・復興に関わる業務の場合については、単月で100時間未満、複数月平均80時間以内の条件は適用されません。

また、日本建設業連合会は週休2日制を完全に実施するために、建設現場を全て土日閉所にするという取り組みを始めています。

参考:厚生労働省|時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

8-2.テレワークの導入

建築業界でもIT化が進みテレワークの導入が促進されています。

離れた場所からの指示や管理が叶うことで、特に施工管理部門などで忙しさの緩和が期待できます。

テレワークというと在宅勤務を想像するかもしれませんが、この場合は「離れた場所で働く」ことを指します。

事務職だけでなく、工事現場で働く施工管理や設計、技術部門にもテレワークを取り入れることで、現場とオフィスを行き来する時間が短縮でき、働き方の改善が期待できます。

8-3.ICT化の導入

ICT化の導入で、業務の効率化を図ることができます。

 CHECK! 

【ICT化とは】

ICTとは、「Information and Communication Technology」の略称で、IT技術の中でもコミュニケーション・情報共有の技術を中心に指す言葉です。

「ICT化」はそれらの技術を使用して業務の効率化を図ることです。

建築業界におけるICT化は、主に次のようなものです。

  • スマホやタブレットを用いた図面や工数の確認
  • 映像システムを用いた遠隔での業務指示

ICT化の導入により、現場監督が映像で進捗の確認を行うことができ、仕事が効率化されます。

また、図面の確認作業を紙ではなくデジタル端末で行うことで、修正や情報の共有が迅速に行われ、建築士の仕事も楽になります。

このように、ICTの技術を活用し業務の効率化を図ることで、建築業界に勤務する人たちの忙しさの解消が望めます。

 

9.まとめ

建築業界の繁忙期は9月と12月〜3月です。
閑散期は、4月〜6月ごろになります。

部門別の忙しさを、確認しておきましょう。

【部門「職種」】

労働時間

休日

施工管理部門

朝8時〜23時
ほぼ毎日残業

土日は休めないことが多い
連続した休みは取れない

設計部門

朝9時〜18時
残業は週に2〜3回

週1の休日が多い
連続した休みは取りにくい

技術部門「職人」

朝9時〜20時
残業は週に4日以上

週に1日休めれば良い方
連続した休みは取れない

技術部門「技術開発」

朝9時〜19時
残業は週に2〜3回

基本的に土日は休み
連続した休みを取ることも可能

営業部門

朝9時〜18時
残業は週に2〜3回

土日とも休めないことがある
連続した休みは取りにくい

建築業界では、現在、忙しさを解消するために、様々な働き方改革の取り組みがなされています。

厳しい業界ではありますが、やりがいがあり、個々人の技術が活かせる仕事でもあります。

興味のある方は、記事を参考に、待遇面をしっかり見据えた上で就労を検討して頂けたらと思います。