派遣社員でも源泉徴収票を貰える!時期と確実に手に入れる方法を解説

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派遣社員でも源泉徴収票を貰える!時期と確実に手に入れる方法を解説

「派遣社員だけど源泉徴収票は貰えるの」
「派遣会社から源泉徴収票を貰うにはどうしたらいいのだろう」

派遣社員は一般社員と異なる点も多いため、源泉徴収票が貰えるのかどうか心配になることもありますよね。

結論として、派遣社員でも源泉徴収票は発行してもらえます。

派遣会社は源泉徴収票を発行する義務があるため、基本的には12月の年末調整が完了する翌年1月下旬に給与明細とともに送られて来ます。

派遣社員が1年間の源泉徴収票を発行してもらえるのは翌年1月

源泉徴収票は通常翌年1月下旬に送られてきます。何らかの理由でもらえなかった場合でも、翌年1月は年末調整が終了しているため、依頼するとスムーズに手に入れることができます。

年度の途中で退社した場合や、紛失のため再発行して貰う場合では、別途依頼する必要があります。

しかし、派遣社員は一般社員よりも会社との関係が希薄になりがちです。

いつ、だれに、どのようにして依頼すればいいのか、また、発行してくれない場合にはどうしたらいいのか、わからないことも多いでしょう。

そこでこの記事では、派遣社員の源泉徴収票について、下記の内容を解説していきます。

  • 派遣会社から源泉徴収票を貰える時期
  • 派遣会社を退社した場合や紛失した時の依頼方法
  • 源泉徴収票を、誰に、どのようにして依頼するべきか
  • 派遣会社が源泉徴収票を発行してくれない場合の対処法

この記事を読めば、派遣社員が源泉徴収票を貰うタイミングや方法が理解できるようになります。源泉徴収票が貰えるのかどうか、不安な気持ちも解消されるはずです。

ぜひ最後まで読んで、源泉徴収票を確実に手に入れてください。

目次

1.派遣社員が源泉徴収票を貰える時期は、年末調整が終わった1月下旬が一般的

源泉徴収票のイメージ

派遣社員として働いている場合、源泉徴収票を貰えるのは、一般的に1月下旬ごろになります。

その年に支給された給与、賞与などの総額と所得税を記載するために、1年間の収入に基づいて12月に所得税を計算してから、発行されるからです。

源泉徴収票は基本的に、年内に発行して貰うことはできません。ですが、退職した場合や、1度発行されたものを紛失した場合には、年内の発行が可能です。

この章では、源泉徴収票がどのようなタイミングで貰えるのか、次のケースごとに説明していきましょう。

  • 派遣社員として働いている場合
  • 退職した場合
  • 再発行したい場合

さらに、源泉徴収票がもらえない場合についても解説します。

1-1.派遣社員の源泉徴収票は年末調整を受けた1月下旬頃に発行される

派遣社員を含む一般的な会社員の場合、源泉徴収票は年末調整を終えた1月下旬に発行されます。

所得税法では、源泉徴収票の発行は「翌年の1月31日までに交付する」と定められています。

源泉徴収票の発行は翌年の1月31日までと定められている

所得税法226条:源泉徴収票交付の義務(抜粋)

企業は、その年において支払の確定した給与等について源泉徴収票を作成し、その年の翌年一月三十一日までに、給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。

出典:所得税法 | e-Gov法令検索

源泉徴収票はその年に支給された給与、賞与などの総額と所得税について記載された書類です。

所得税は年間の所得に対して金額が決まるため、総支給額が確定する12月に計算(年末調整)することになります。

そのため、基本的には1月下旬頃に、12月分の給与明細票と一緒に受け取るケースが多くなります。

1-2.退職の場合は派遣会社を辞めたあと1ヵ月以内に源泉徴収票が郵送される

一般的に派遣会社を退職した場合は、辞めたあと1ヵ月以内に郵送されます。

所得税法では、次のように定められています。

退職者には1ヶ月以内の交付が定められている

所得税法226条(抜粋)

年の中途において退職した者については、その退職の日以後一月以内に、給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。

出典:所得税法 | e-Gov法令検索

このように、法律で退職の1ヵ月以内と定められているため、基本的には最後の給与明細と一緒に受け取ることになります。

発行されるかどうか心配な場合は、退職する前に派遣会社の担当者か、経理担当者に伝えておくと良いでしょう。

会社に源泉徴収票の請求をする際、伝える項目は次のとおりです。

  • 名前(勤務時の氏名)
  • 登録してある派遣社員ID
  • 所属していた支社、支店名
  • 退社する予定日
  • 送り先の住所(郵送してほしい場合)
  • 必要な年度

派遣先の会社ではなく、派遣元の会社に請求することを間違わないようにしましょう。

退職したあとでも、7年以内なら発行を依頼することは可能です。

1-3.紛失した場合は派遣会社に請求すると約1週間程度で源泉徴収票が再発行される

源泉徴収票を紛失した場合には、派遣会社に請求すると通常約1週間程度で再発行してもらえます。

大手の派遣会社では、基本的にインターネット上で源泉徴収票の再発行申請が行えます。ホームページの「各種証明書申請フォーム」などから、必要事項を入力して申請すると、1週間程度で郵送されます。

インターネット上で申請ができない場合は、派遣会社の担当者に伝えるか、経理担当部署に直接電話で依頼すると、約1週間で再発行してくれます。受け取方法も聞いておきましょう。

再発行の期間は会社によっても異なりますが、すぐに発行して貰えるわけではないので、必要になったら早めに依頼します。

源泉徴収票の保存期間は税法上7年分と定められている(参考:国税庁ホームページ「帳簿書類等の保存期間」)ので、7年前までの源泉徴収票であれば再発行が可能です。

1-4.源泉徴収票が発行されないケースもある

派遣社員として勤務していても、源泉徴収票が発行されないケースがあります。

それは、国税庁が定めている次の2つの条件両方に該当する場合です。

【源泉徴収票が発行されない条件2つ】

条件具体例
(1) 国税庁「給与所得の源泉徴収税額表」の​​日額表における丙欄(へいらん)の数字が適用されない場合日給が9,300円以下
(2) 日雇い、単発バイトとして働いている場合雇用契約の期間が2ヶ月以内

※詳しくは国税庁のホームページ「パートやアルバイトの源泉徴収」を参照してください。

上記の、2つの条件両方に該当する場合は所得税が不要となり、納税義務がありません。

つまり、派遣社員であっても、日給が9,300円以下で2ヶ月以内の契約なら、源泉徴収票が発行されないことになります。

たとえば、百貨店などのセール期間など繁忙期だけの短期派遣や、オープニングスタッフなどの単発派遣のような場合です。

短期の契約の場合は、上記の条件に当てはまるかどうか、担当者に確認すると良いでしょう。

条件に当てはまっていても、源泉徴収されている場合もある

所得税が発生しない2つの条件に当てはまっているにも関わらず、所得税が徴収されている場合もあります。担当者から会社にうまく伝わっていない場合や、経理部のミスなどが原因です。

そのような場合は、個人で確定申告をすることで、払いすぎた税金が還付金として戻ってきます。

2.派遣社員が源泉徴収票を依頼するのは「派遣元」の会社

派遣社員が源泉徴収票を依頼するのは「派遣元」の会社

派遣社員が源泉徴収票を依頼しようと思った時、派遣会社か派遣先の会社なのか、どこに依頼すればいいのか迷いますよね。

ここでは源泉徴収票を、どこの誰に依頼するかについて解説していきます。

2-1.源泉徴収票は派遣先ではなく派遣元の会社に依頼しよう

派遣社員が源泉徴収票を依頼する場合、派遣先の会社ではなく、派遣元の会社に依頼します。

派遣先の会社に勤務していても、給与は派遣会社から支給されています。

そのため、源泉徴収票も派遣会社が発行します。

必ず、派遣元の会社に依頼しましょう。

2-2.源泉徴収票を依頼するときは「ホームページ」から、または「担当者・経理担当部署」に申請しよう

源泉徴収票の依頼は、派遣会社によって次の2つの方法があります。

  1. 派遣会社ホームページの「各種証明書申請フォーム」などを利用して申請
  2. 申請フォームなどがない場合、派遣会社の担当者、または派遣会社の経理担当部署に依頼

それぞれ説明します。

2-2-1.【源泉徴収票を依頼する方法1】派遣会社ホームページの「各種証明書申請フォーム」などを利用して申請

大手の派遣会社では、源泉徴収票の依頼は会社ホームページ内の「各種証明書申請フォーム(会社によって名称は異なる)」から申請できます。

派遣会社のホームページにログインして、各種証明書申請フォームを開きます。

指示に従って必要事項を入力して申請します。その後、確認のためのメールが来ることが多いようです。

申請しても何の連絡が来ない場合は、派遣会社の担当者か経理担当部署に確認しましょう。

なお、退社したあとはホームページにログインできない可能性もあります。その場合は、会社の経理担当部署に直接依頼しましょう。

2-2-2.【源泉徴収票を依頼する方法2】派遣会社の担当者、または派遣会社の経理担当部署に依頼

派遣会社では、担当者が派遣社員のすべての窓口になっているケースが多いです。

しかし、担当者が経理とうまく連携が取れていなかったり、伝え忘れたりする可能性もあります。

確実に源泉徴収票がほしい場合は、直接経理担当部署に依頼すると良いでしょう。

3.【ケース別】源泉徴収票を依頼するタイミング

源泉徴収票を依頼するタイミング

次に源泉徴収票を依頼するタイミングについてみていきましょう。

一般的には特に依頼しなくても、12月の年末調整が終わった後に源泉徴収票が発行されます。

しかし、発行ミスなどを防ぐためにも、下記のように特別に依頼したいこともありますよね。

  • 確実に手に入れたい場合(年末調整が終わった後に必要)
  • 派遣会社を退職する場合(年度の途中に必要)

この章では、源泉徴収票を依頼するタイミングについて解説していきます。

3-1.1年間の源泉徴収票は、単発や短期、長期であっても12月に依頼する

派遣会社で働いている場合に、1年間の源泉徴収票を依頼するタイミングは、単発、短期、長期など雇用形態に関係なく12月に依頼しておくことをおすすめします。

源泉徴収票は12月分の給与額が確定し、年末調整の計算をした後、翌年1月に発行されるため、12月の依頼がベストだからです。

1年間の源泉徴収票を依頼するタイミングは12月

派遣会社のホームページに「各種申請書申請フォーム」などがある場合は、そちらから申請します。

申請フォームがない場合は、経理部にメールで依頼すると文面が残るため、電話とメールの両方でお願いしましょう。

基本的に、源泉徴収票の依頼自体はいつでも可能です。

しかし、あまり早く依頼しても担当者や経理などの人的ミスにより、忘れられる可能性が高くなります。そのため、12月に一度依頼しておき、すべての源泉徴収票が発行される1月に改めて申し入れると確実に手に入ります。

3-2.派遣会社を退職する場合は辞める時に依頼する

派遣会社を退職する場合は、辞めるタイミングで依頼しましょう。

派遣会社のホームページに「各種申請書申請フォーム」がある場合は、辞める前に忘れず申請しておきます。退職後は、会社のホームページにログインできなくなる可能性があるからです。

申請フォームがない場合は、担当者か経理担当部署に依頼しておくと良いでしょう。

1-2.退職の場合は派遣会社を辞めたあとに郵送される」でも解説しましたが、基本的に源泉徴収票は退職した後に郵送されます。

しかし、経理担当の人は、派遣会社を完全に退職するのか、今の派遣の仕事が一旦終了するだけなのか把握していない可能性もあります。

同じ派遣会社で複数の派遣先の仕事をした場合、合算して年末調整を行うため、「退職」することを確実に伝えておくべきでしょう。

4.派遣会社が源泉徴収票を発行してくれないときの対処法3つ

源泉徴収票を発行してくれなくて困った派遣社員

派遣会社が源泉徴収票を発行してくれないケースもあります。

特に、会社とのトラブルが原因で発行してもらえないケースでは、連絡を取りたくない場合もあるでしょう。「貰えないかもしれない」と不安になるかもしれませんが、ご安心ください。

派遣会社は労働者に対し、源泉徴収票を発行することは所得税法で定められています。

第二百四十二条(抜粋)

次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(6)源泉徴収票をこれらの書類の交付の期限までにこれらの規定に規定する支払を受ける者に交付せず、若しくはこれらの書類に偽りの記載をして当該支払を受ける者に交付した者又は偽りの事項を提供した者

出典:所得税法 | e-Gov法令検索

源泉徴収票を発行しない場合、会社は1年以下の懲役または50万以下の罰金が課されることになります。

とはいえ、電話もしたくない場合にはどうしたらいいのでしょうか。

この章では、源泉徴収票を発行してもらえない時に、「必ず貰える」ための対処法を解説していきます。

  • 返信用封筒を入れた「手紙」で依頼する
  • 税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する
  • 源泉徴収票の代替書類で対応できる場合もある

それぞれ説明していきましょう。

4-1.派遣会社が源泉徴収票を発行してくれないときの対処法 返信用封筒を入れた「手紙」で依頼する

まずは、派遣会社の経理担当部署へ手紙で依頼することをおすすめします。

円満退社ではなかった場合でも、受け取った人の心証が悪くならないよう配慮しましょう。

依頼のための文章として次の2パターンをご紹介します。

  • 退職した後に源泉徴収票を依頼する手紙の文章例
  • 源泉徴収票の再発行を依頼する手紙の文章例

必要に応じて、文面を変えるなどして参考にしてください。

【コピペOK!】退職した後の源泉徴収票を依頼する手紙の文章例

〇〇会社 経理部 ご担当様

拝啓

時下ますますご清栄のことお慶び申し上げます。

◯年◯月まで、貴社で派遣社員として勤務しておりました〇〇と申します。

在職中は大変お世話になりましてありがとうございました。

本日、私が貴社で勤務していた時の源泉徴収票が手元にないため、発行していただきたく、ご連絡をさせていただきました。

このたび、年末調整にあたり、下記の源泉徴収票を必要としております。

  • 名前(勤務時の氏名)
  • 登録してあった派遣社員ID
  • 所属していた支社、支店名
  • 退社した年月
  • 源泉徴収票が必要な年度

つきましては、当書類を早急にご送付くださいますようお願いいたします。

返信用封筒を同封しておりますので、ご利用くださいませ。

ご多用のところ恐縮ではございますが、ご高配のほどよろしくお願い申し上げます。

敬具

日付
氏名 (できれば電話番号)

再発行を依頼する際は、次の文面を参考にしてください。

【コピペOK!】源泉徴収票の再発行を依頼する手紙の文面例

〇〇会社 経理部 ご担当様

拝啓

時下ますますご清栄のことお慶び申し上げます。

◯年◯月まで、貴社で派遣社員として勤務しておりました〇〇と申します。

在職中は大変お世話になりましてありがとうございました。

私事で大変恐縮ですが、貴社が発行した源泉徴収票を紛失したため、再発行していただきたく、ご連絡をさせていただきました。

このたび、年末調整にあたり、下記の源泉徴収票を必要としております。

  • 名前(勤務時の氏名)
  • 登録してあった派遣社員ID
  • 所属していた支社、支店名
  • 退社した年月日
  • 必要な年度

つきましては、当書類を早急にご送付くださいますようお願いいたします。

返信用封筒を同封しておりますので、ご利用くださいませ。

ご多用のところお手数をおかけいたしますが、ご高配のほどよろしくお願い申し上げます。

敬具

日付
氏名 (できれば電話番号)

依頼の手紙を書く便箋に決まった形式はありませんが、白系の無地か、薄い罫線があるものを利用するのがマナーです。手書きでも、パソコンで作成してプリントアウトしたものでも大丈夫です。

手紙を送る際は、切手を貼った返信用封筒(住所、氏名記入済)も同封しましょう。

相手の心証がよくなる上、手間が省けるので、返事が早くなります。

源泉徴収票を依頼するときの封筒例

会社に送る封筒の中に、手紙と自分への返信用封筒を同封しましょう。

同封する返信用封筒のイメージ

▼封筒の注意点

  • 茶封筒か白封筒を利用します。
  • 封筒のサイズは長形3号(120mm☓235mm)が一般的ですが、特に決まりはありません。
  • 返信用封筒は、送付する封筒の一回り小さいサイズか、同じサイズの封筒を4つ折りにして、同封します。
  • 返信用封筒には切手を貼り、自分の郵便番号、住所、氏名を記入しておきます。

基本的には茶封筒で良いのですが、再発行の依頼の場合には、少しあらたまった時に利用される白封筒を利用すると更に良い印象を与えます。

2週間ほど待っても返事がこない場合には、次の章を参考にして、確実に手に入れてください。

4-2.派遣会社が源泉徴収票を発行してくれないときの対処法 税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する

会社に手紙を出しても源泉徴収票を発行してもらえない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出すると確実にもらえます。

源泉徴収票不交付の届出は、会社から源泉徴収票を交付されなかった人が、税務署に対して行える手続です。

手続きが行われると、税務署から会社に源泉徴収票を交付するよう行政指導が入ります。

源泉徴収票の不発行は法律違反(所得税法226条:源泉徴収票交付の義務)となり、罰則もあるため、ほとんどの会社は源泉徴収票を発行することになります。

手続きは、納税をしている税務署で行います。概要は次のとおりです。

【源泉徴収票不交付の手続きの概要】

届け出を行う場所

納税地を所轄する税務署
参考:国税庁「税務署の所在地などを知りたい方

必要書類

源泉徴収票不交付の届出書
給与明細(コピー)

受付時間8時30分〜17時
手数料無料

※くわしくは、国税庁ホームページ「源泉徴収票不交付の届出手」をご覧ください。

源泉徴収票不交付の届出書原本は、下記のボタンからダウンロードすることができます。

源泉徴収票不交付の届出書

ダウンロードしたPDFを印刷し、記入して税務署に持参してください。

記載例は、下記のボタンを押すと出てくる例を参考にしてください。

【記載例】源泉徴収票不交付の届出書

出典:国税庁「源泉徴収票不交付の届出書

ただし、既に交付された源泉徴収票の再発行については受け付けていないので、会社に依頼するしかありません。

4-3.派遣会社が源泉徴収票を発行してくれないときの対処法 源泉徴収票の代替書類で対応できる場合もある

源泉徴収票が必要な場合でも、用途によっては「代替書類」で対処できる場合があります。

源泉徴収票は所得を証明するための書類なので、次の用途では代替書類が認めらるケースが多くなります。

【源泉徴収票の代替書類が認められることが多いケース】

ケース代替書類
カードローンや住宅ローン
  • 所得証明書
  • 確定申告書
  • 給与や賞与の明細書
賃貸の入居審査
  • 所得証明書
  • 確定申告書
  • 場合によっては銀行の通帳

保育園の入園申込
児童手当の受給申請
配偶者扶養の認定申請

  • 所得証明書

代替書類の中でも、この表に書かれているの多くのケースで、源泉徴収票の代わりに「所得証明書」が利用できます。

所得証明書は市町村の役場で手に入れることができます。自治体によっては「課税証明書」や「市民税・県民税課税(非課税)証明書」などと、呼び方が異なります。

所得証明書を取得する方法については、次を参考にしてください。

【​​所得証明書の取得方法】

取得できる場所納税している自治体の市役所、区役所、出張所など
申請窓口

市民税課、税務管理課など(自治体によって異なります)

必要書類
  • 所得証明申請書
  • 本人確認書類:顔写真付の公的な証明書

例:免許証、マイナンバーカード、パスポート、在留カードなど

手数料200円〜400円

※「所得証明申請書」は各役所に用意されていますが、自治体のHPからダウンロードできる場合もあります。

ただし、時期によっては所得証明書が取得できず、絶対に源泉徴収票が必要な場合もあります。

所得証明書は「1月〜12月までの年間所得額」が記載されている書類なので、年度の途中にその年の所得証明書を発行することは不可能です。

たとえば、2023年の所得が記載された所得証明書は、2024年の6月に発行可能になります。1月〜6月の半年間は取得できないため、源泉徴収票が必要となります。

そのため次のケースでは、代替書類が利用できません。

代替書類が利用できないケース

  • 確定申告(ただし源泉徴収票を添付する必要はない)
    転職(転職先の会社に提出)

これらは年内の所得を確認するため、源泉徴収票が必ず必要です。

5.派遣社員の源泉徴収票発行にまつわる4つのQ&A

派遣社員の源泉徴収票発行にまつわる4つのQ&A

ここまで読んでこられて、派遣社員の源泉徴収票の取得についてよくお分かりになったと思います。

しかし、「こういう時にはどうしたらいいの?」と疑問に思うこともあるのではないでしょうか。

そこでこの章では、派遣社員の源泉徴収票についての疑問にお答えしていきます。

5-1.派遣社員の源泉徴収票発行にまつわるQ1:複数の会社のものが必要なときはどうしたらいいの?

給与が支給される会社ごとに請求します

複数の会社の源泉徴収票が必要なときは、給与が支払われている会社ごとに源泉徴収票を請求します。

同じ派遣会社から複数の会社に派遣されている場合は、元の派遣会社に請求すればよいでしょう。派遣会社が同じであれば、その会社がまとめて年末調整後に源泉徴収票を発行してくれます。

複数の派遣会社や、派遣会社以外で働いた場合は、それぞれの会社に請求します。

上記の場合、一つの会社で年末調整をすることができないので、自分で確定申告をすることになります。

5-2.派遣社員の源泉徴収票発行にまつわるQ2:何年前までの源泉徴収票を発行して貰えるの?

源泉徴収票は7年前まで発行してもらえます

源泉徴収票は7年前まで発行して貰うことができます。

基本的に会社では、源泉徴収票を作成する元となる「源泉徴収簿」を7年間保存する必要があるからです。

給与所得者の扶養控除等申告書等の提出を受けた源泉徴収義務者は、その申告書等の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存する必要があります。

出典:国税庁「給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間

たとえば、2023年度の源泉徴収票は、翌年2024年1月10日から起算して7年間(2030年)まで請求することができます。

源泉徴収票の必要な年度が保存期間内であれば、問題なく再発行して貰うことが可能です。

5-3.派遣社員の源泉徴収票発行にまつわるQ3:源泉徴収票の発行・再発行に料金はかかるの?

源泉徴収票の発行・再発行は無料です

源泉徴収票は、通常無料で発行されます。

源泉徴収票の発行自体は法律で定められており、決まった手数料などはありません。

ただし、退社後に再発行して貰う際などに、切手代を請求されるケースもあります。

源泉徴収票を取り寄せる場合などは、依頼する際に確認しておくと安心です。

5-4.派遣社員の源泉徴収票発行にまつわるQ4:派遣会社が倒産している場合はどうしたらいいの?

破産管財人に連絡を取って依頼します

派遣会社が倒産した場合でも、源泉徴収票の発行は可能です。

倒産した会社と直接交渉することはできません。破産している場合は、担当している破産管財人(裁判所によって選出された弁護士)に連絡を取って依頼します。

ただし、破産した会社の破産管財人は、法務局や裁判所に問い合わせる必要があり、個人で調べるのは大変面倒です。

倒産してさほど年月が経っていない場合には、相手の会社に手紙を出す方法があります。

破産した会社の郵便物は、管財人に転送されるので、源泉徴収票の発行を依頼してみましょう。

6.まとめ

派遣社員が源泉徴収票を貰うタイミングや方法について、説明してきました。

源泉徴収票を手に入れる方法が、よくお分かりになったと思います。

最後に、これまでの解説を簡単にまとめてみましょう。

派遣社員が1年間の源泉徴収票を発行してもらえるのは翌年1月

◎派遣社員の源泉徴収票は年末調整を受けた1月下旬頃に発行される

◎源泉徴収票の依頼は、会社によって次の方法がある

  • 会社のホームページに「書類申請フォーム」がある場合は、必要事項を入力して申請
  • 申請フォームがない場合は、担当者に伝えるか派遣会社の経理担当部署に電話かメールで依頼

◎源泉徴収票を依頼するタイミングは12月、受け取りは1月

◎派遣会社が源泉徴収票を発行してくれないときの対処法3つ

  • 返信用封筒を入れた「手紙」で依頼する
  • 税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する
  • 源泉徴収票の代替書類で対応できる場合もある

派遣社員の方が、源泉徴収票を確実に手に入れるために、この記事を参考にしていただけましたら幸いです。